神経障害発現に及ぼすシスプラチン分割投与の影響
これまで癌化学療法の多くのケースで投与量制限因子であった血液障害や消化管障害への対策が大きく改善し, 癌化学療法剤の増量やクール数の増加, 多剤併用療法が可能となった. それに伴い, 神経障害の発現頻度が増加しているともいわれている1). しかし, 癌化学療法による神経障害は, 現時点で確立された有効な治療法はなく, 末梢神経障害の場合, 一度発現すると改善に長期間かかり, 中枢神経障害の場合は不可逆的になりやすい1, 2). そのため, 神経障害の早期発見と発現の予測が重要となる. cisplatin(CDDP)による神経障害の発現を左右する要因として, 総投与量が挙げられている. 多くの報...
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Published in | 医療薬学 Vol. 32; no. 1; pp. 60 - 63 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本医療薬学会
2006
日本医療薬学会 |
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Summary: | これまで癌化学療法の多くのケースで投与量制限因子であった血液障害や消化管障害への対策が大きく改善し, 癌化学療法剤の増量やクール数の増加, 多剤併用療法が可能となった. それに伴い, 神経障害の発現頻度が増加しているともいわれている1). しかし, 癌化学療法による神経障害は, 現時点で確立された有効な治療法はなく, 末梢神経障害の場合, 一度発現すると改善に長期間かかり, 中枢神経障害の場合は不可逆的になりやすい1, 2). そのため, 神経障害の早期発見と発現の予測が重要となる. cisplatin(CDDP)による神経障害の発現を左右する要因として, 総投与量が挙げられている. 多くの報告1-7)によると, 総投与量が300~400mg/m2を超えると発現頻度が高くなるとされている. 血液障害などの有害反応は, 化学療法剤の分割投与により!回投与量を減量することで重症度が軽減されることが明らかとなっており8), CDDP分割投与法であるCIC療法(CDDP:20mg/m2, days1-4, ifosfamide(IFM):1.5g/m2, day1-4, irinotecan(CPT-11):60mg/m2, day1, 8, 15)においても良好な成績が得られている9). |
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ISSN: | 1346-342X 1882-1499 |
DOI: | 10.5649/jjphcs.32.60 |