体性感覚入力が耳石—眼反射に及ぼす影響

[緒言]一側前庭機能が急激に低下すると, 激しいめまいや平衡障害が出現する(めまい急性期). めまい急性期の治療は, 心身の安静, 鎮暈薬や制吐薬などの薬物による対症療法が主体となる. 急性期を脱しても通常の代償過程と比較してめまいや平衡障害の程度が強い, あるいは改善が遅れている症例には前庭訓練(めまいリハビリテーション)が適応となる. 一側障害例に対して行われる前庭訓練は, 前庭系からの入力低下により生じた前庭入力と視覚入力との乖離を, 前庭代償によって是正することを目的としている. 両側障害例に対して行われる前庭訓練は, 極度に低下あるいは欠落した前庭入力を, 視覚情報や体性感覚情報など...

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Published inEquilibrium Research Vol. 69; no. 6; pp. 437 - 444
Main Authors 宮本, 康裕, 肥塚, 泉, 三上, 公志, 鈴木, 一輝, 深澤, 雅彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本めまい平衡医学会 2010
日本めまい平衡医学会
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ISSN0385-5716
1882-577X
DOI10.3757/jser.69.437

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Summary:[緒言]一側前庭機能が急激に低下すると, 激しいめまいや平衡障害が出現する(めまい急性期). めまい急性期の治療は, 心身の安静, 鎮暈薬や制吐薬などの薬物による対症療法が主体となる. 急性期を脱しても通常の代償過程と比較してめまいや平衡障害の程度が強い, あるいは改善が遅れている症例には前庭訓練(めまいリハビリテーション)が適応となる. 一側障害例に対して行われる前庭訓練は, 前庭系からの入力低下により生じた前庭入力と視覚入力との乖離を, 前庭代償によって是正することを目的としている. 両側障害例に対して行われる前庭訓練は, 極度に低下あるいは欠落した前庭入力を, 視覚情報や体性感覚情報など, 他の感覚情報での代替えが可能な状態にすることを目的としている. いずれも, 視覚入力が重要な役割を果たしているが, 視覚系は加齢とともに劣化することより, 高齢者においては前庭訓練の治療効果に限界が生じる可能性が示唆される.
ISSN:0385-5716
1882-577X
DOI:10.3757/jser.69.437