悪性腫瘍が否定できず,クオンティフェロン検査が確定診断に有効であった胆嚢結核性肉芽腫の1例

要旨:症例は81歳男性.胆嚢腫瘤の診断で当院へ紹介された.CTでは胆嚢底部に径18 mmの広基性の隆起性病変あり,壁肥厚とともに造影効果を認め悪性が疑われ,EUSでは,隆起性病変の基部で外側高エコー層の断裂を認めた.肝床浸潤を伴う胆嚢癌を否定できず,胆摘および肝床部肝S5・S4a部分切除,肝外胆管切除,D2リンパ節郭清,胆道再建を施行した.術後経過は良好で,第12病日に退院した.切除標本では,粘膜面は平滑で境界不明瞭な隆起性病変であり,割面では胆嚢壁から肝被膜にかけて白色結節を認めた.病理組織診断では,悪性所見なく,硬結内部に壊死巣を含む類上皮肉芽腫,乾酪壊死を認め結核性肉芽腫が疑われた.Zi...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in胆道 Vol. 27; no. 1; pp. 107 - 111
Main Authors 渡邊, 常太, 藤山, 泰二, 米永, 吉邦, 竹治, みゆき, 羽田野, 雅英, 串畑, 史樹, 高田, 泰次, 杉田, 敦郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2013
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.27.107

Cover

More Information
Summary:要旨:症例は81歳男性.胆嚢腫瘤の診断で当院へ紹介された.CTでは胆嚢底部に径18 mmの広基性の隆起性病変あり,壁肥厚とともに造影効果を認め悪性が疑われ,EUSでは,隆起性病変の基部で外側高エコー層の断裂を認めた.肝床浸潤を伴う胆嚢癌を否定できず,胆摘および肝床部肝S5・S4a部分切除,肝外胆管切除,D2リンパ節郭清,胆道再建を施行した.術後経過は良好で,第12病日に退院した.切除標本では,粘膜面は平滑で境界不明瞭な隆起性病変であり,割面では胆嚢壁から肝被膜にかけて白色結節を認めた.病理組織診断では,悪性所見なく,硬結内部に壊死巣を含む類上皮肉芽腫,乾酪壊死を認め結核性肉芽腫が疑われた.Ziehl-Neelsen染色および切除標本PCR検査では結核菌は検出されなかったが,クオンティフェロン検査陽性より胆嚢結核性肉芽腫と診断した.結核既往者の胆嚢腫瘤では,胆嚢結核性肉芽腫も鑑別診断として念頭に置く必要がある.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.27.107