気管支鏡下に高周波スネアにより切除した孤立性気管支腺上皮型乳頭腫の1例

背景.孤立性気管支腺上皮型乳頭腫は稀な疾患である.本邦で2000年から2019年までの20年間において,自験例を含めて4例のみの報告である.そのため,治療のコンセンサスが十分に得られていないのが現状である.症例.61歳女性.5年前から他院で気管支喘息と診断され加療されていたが,症状の改善はなかった.200X-1年1月の健診で異常陰影を指摘され,CT上,左主気管支内腔に突出する腫瘍を認め,当院を紹介受診した.気管支鏡検査では,左主気管支内腔を90%狭窄するポリープ状の腫瘍を認めたが,極細径気管支鏡による狭窄部の末梢気管支の観察は正常であった.生検組織検査では,気管支腺上皮型乳頭腫と診断された.経...

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Published in気管支学 Vol. 42; no. 3; pp. 260 - 263
Main Authors 菅原, 崇史, 三友, 英紀, 石橋, 直也, 佐々木, 高信, 佐川, 元保, 大島, 穣, 近藤, 丘, 田畑, 俊治, 野々村, 遼
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.05.2020
日本呼吸器内視鏡学会
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.42.3_260

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Summary:背景.孤立性気管支腺上皮型乳頭腫は稀な疾患である.本邦で2000年から2019年までの20年間において,自験例を含めて4例のみの報告である.そのため,治療のコンセンサスが十分に得られていないのが現状である.症例.61歳女性.5年前から他院で気管支喘息と診断され加療されていたが,症状の改善はなかった.200X-1年1月の健診で異常陰影を指摘され,CT上,左主気管支内腔に突出する腫瘍を認め,当院を紹介受診した.気管支鏡検査では,左主気管支内腔を90%狭窄するポリープ状の腫瘍を認めたが,極細径気管支鏡による狭窄部の末梢気管支の観察は正常であった.生検組織検査では,気管支腺上皮型乳頭腫と診断された.経過観察中に増大を認め,ヒトパピローマウイルス感染との関連性がなく,潜在的な悪性素因を持ち合わせないため,気管支鏡下にスネアによる切除とアルゴンレーザー焼灼を施行した.術後2カ月後の観察では腫瘍の残存は認めず,症状の再燃もない.結論.孤立性気管支腺上皮型乳頭腫に対して,気管支鏡下に高周波スネアを用いて安全に切除できた1例を経験した.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.42.3_260