デクスメデトミジンによる局所麻酔下の鎮静

α2アドレナリン受容体作動薬であるデクスメデトミジン(DEX)による鎮静は,人工呼吸管理からの離脱を促進し,呼吸器感染症の発症を低下させる.DEXには生体の免疫調節機能を修飾する働きがあり,向炎症性サイトカインの産生抑制によって炎症を軽減し,アポトーシスを誘導する酵素の発現を抑制する.また,DEXは神経保護効果を有し,せん妄や術後認知機能障害の発現を低下させることに貢献している.DEXによる局所あるいは区域麻酔中の鎮静では,意識下鎮静を容易に達成することができ,追加する鎮痛薬の必要量も軽減させた.局所麻酔や区域麻酔中のDEXの全身投与は,神経ブロック効果持続時間を延長させることが知られている....

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Bibliographic Details
Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 35; no. 2; pp. 279 - 287
Main Author 稲垣, 喜三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 14.03.2015
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.35.279

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Summary:α2アドレナリン受容体作動薬であるデクスメデトミジン(DEX)による鎮静は,人工呼吸管理からの離脱を促進し,呼吸器感染症の発症を低下させる.DEXには生体の免疫調節機能を修飾する働きがあり,向炎症性サイトカインの産生抑制によって炎症を軽減し,アポトーシスを誘導する酵素の発現を抑制する.また,DEXは神経保護効果を有し,せん妄や術後認知機能障害の発現を低下させることに貢献している.DEXによる局所あるいは区域麻酔中の鎮静では,意識下鎮静を容易に達成することができ,追加する鎮痛薬の必要量も軽減させた.局所麻酔や区域麻酔中のDEXの全身投与は,神経ブロック効果持続時間を延長させることが知られている.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.35.279