局所再々発および遠隔転移を来した膵癌に対するFOLFIRINOX療法中に発生した播種性水痘帯状疱疹ウイルス感染症の1例

症例は54歳男性.膵体部癌に対する脾合併膵体尾部切除後の局所再々発および遠隔転移の2次治療としてoxaliplatin・irinotecan・fluorouracil・levofolinate calcium併用療法(以下,FOLFIRINOX)を施行中であった.4コース目施行中,全身の水疱と腹痛,背部痛を主訴に緊急受診した.水疱を伴う皮膚所見より水痘と診断した.入院後に発熱と肝障害,意識障害が出現し髄液検査で水痘帯状疱疹ウイルス(varicella zoster virus:VZV)―PCRが陽性であったことから,播種性VZV感染症と診断した.抗ウイルス療法とステロイド薬の投与,血小板輸血,...

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Published in膵臓 Vol. 35; no. 6; pp. 615 - 621
Main Authors 山中, 雅也, 杉本, 博行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本膵臓学会 28.12.2020
日本膵臓学会
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.35.615

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Summary:症例は54歳男性.膵体部癌に対する脾合併膵体尾部切除後の局所再々発および遠隔転移の2次治療としてoxaliplatin・irinotecan・fluorouracil・levofolinate calcium併用療法(以下,FOLFIRINOX)を施行中であった.4コース目施行中,全身の水疱と腹痛,背部痛を主訴に緊急受診した.水疱を伴う皮膚所見より水痘と診断した.入院後に発熱と肝障害,意識障害が出現し髄液検査で水痘帯状疱疹ウイルス(varicella zoster virus:VZV)―PCRが陽性であったことから,播種性VZV感染症と診断した.抗ウイルス療法とステロイド薬の投与,血小板輸血,γグロブリン製剤等の支持療法で救命し得た.本症例のように固形癌に対する化学療法中の重症水痘の報告は稀である.膵癌では強力な化学療法が行われるようになり,水痘感染が重症化し得ることを念頭において治療をする必要がある.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.35.615