ペーシングモードの差異における心不全発症に関する長期観察

当院における心房ぺーシング(AAI)を除いた心室ペーシングを行う各モード(VDD:房室感知心室ぺーシング,DDD:心房心室順次ペーシング,VVI:心室単独ペーシング)での心不全入院率を比較検討するために,最長10年間,後ろ向きに長期観察した.対象は209例(男性104例)で,平均年齢は77.7±9.5歳,平均観察期間は59.0±30.4ヵ月,左室駆出率(LVEF)は68.7±9.4%であり,それぞれの指標について,各群間で有意差は認めなかった.心不全入院率はVDD群が21例中1例(4.8%),DDD群が105例中3例(2.9%)であったのに対して,VVI群が83例中14例(16.9%)と,VV...

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Published in心電図 Vol. 31; no. 4; pp. 401 - 407
Main Authors 佐藤, 秀之, 岡野, 喜史, 高村, 和大, 福永, 俊二, 小林, 建三郎, 山崎, 純一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 2011
日本心電学会
Subjects
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ISSN0285-1660
1884-2437
DOI10.5105/jse.31.401

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Summary:当院における心房ぺーシング(AAI)を除いた心室ペーシングを行う各モード(VDD:房室感知心室ぺーシング,DDD:心房心室順次ペーシング,VVI:心室単独ペーシング)での心不全入院率を比較検討するために,最長10年間,後ろ向きに長期観察した.対象は209例(男性104例)で,平均年齢は77.7±9.5歳,平均観察期間は59.0±30.4ヵ月,左室駆出率(LVEF)は68.7±9.4%であり,それぞれの指標について,各群間で有意差は認めなかった.心不全入院率はVDD群が21例中1例(4.8%),DDD群が105例中3例(2.9%)であったのに対して,VVI群が83例中14例(16.9%)と,VVI群で心不全入院率が高かった.心房細動新規発症率に変化はみられず,ぺーシングによるQRS幅もほかのペーシングモードと有意差はなかった.この調査により,VDD,DDDペーシングモードの心不全発症抑制への関与が示唆された.生理的ペーシングは心不全を抑制することが推測される.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.31.401