大腸sm癌におけるPCNA, p53蛋白発現
近年, sm癌に対して内視鏡的切除や局所切除が選択される症例が増加してきている. その結果切除標本における病理組織学的所見から追加切除が必要か否か, その後の治療方針を決定することが困難な場合がある. 一般に癌の予後は病理組織学的進行度とともに癌細胞自体の生物学的悪性度によって左右される. しかし, sm癌の悪性度評価の指標については未だ議論の多いところである1-5. Proliferating cell nuclear an-tigen(PCNA)は大腸癌の細胞動態および癌の進展様式を観察する上で重要とされている6. また, p53遺伝子異常は大腸癌発生の因子であるほか, 大腸癌の悪性度ある...
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Published in | Journal of Nippon Medical School Vol. 67; no. 4; pp. 242 - 249 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医科大学医学会
2000
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Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-4676 1347-3409 |
DOI | 10.1272/jnms.67.242 |
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Summary: | 近年, sm癌に対して内視鏡的切除や局所切除が選択される症例が増加してきている. その結果切除標本における病理組織学的所見から追加切除が必要か否か, その後の治療方針を決定することが困難な場合がある. 一般に癌の予後は病理組織学的進行度とともに癌細胞自体の生物学的悪性度によって左右される. しかし, sm癌の悪性度評価の指標については未だ議論の多いところである1-5. Proliferating cell nuclear an-tigen(PCNA)は大腸癌の細胞動態および癌の進展様式を観察する上で重要とされている6. また, p53遺伝子異常は大腸癌発生の因子であるほか, 大腸癌の悪性度あるいは予後因子として注目されている7-9. そこで, 大腸sm癌における先進部組織像とPCNA発現との関係, およびp53蛋白発現からみた大腸sm癌の悪性度について検討したので報告する. 研究対象および方法 (1)対象 日本医科大学第1外科で外科的に切除された大腸sm癌67例(隆起型44例, 表面型23例)を対象とした. (2)方法腫瘍は大腸癌取扱い規約10に準じて, 肉眼型別に隆起型(polypoid type)と表面型(flat type)に分類した. 切除標本を10%中性緩衝ホルマリン液で12時間から24時間固定し, パラフィン包埋後, 薄切し連続切片を作製した. 組織学的染色はHematoxylin Eosin(HE)染色を行い, 腫瘍における優位組織型および先進部組織型を比較した. |
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ISSN: | 1345-4676 1347-3409 |
DOI: | 10.1272/jnms.67.242 |