左側腹部に開口した先天性皮膚洞の1例
症例は5か月女児.生後2か月時に左側腹部の有毛性瘻孔に気付かれた.生後3か月時より瘻孔部の発赤を認めて抗菌薬治療が行われたが改善せずに当院紹介となった.初診時,瘻孔の周囲に約1 cmの皮下膿瘍を認めた.超音波検査で瘻孔は左腎下極レベルに存在し,背側へ約15 mm向かい胸腰筋膜の手前で盲端となっていた.炎症の消退後に施行したMRIで,深さ約17 mmの瘻孔は皮下脂肪内で盲端となり脊椎管との交通は認めなかった.その後も局所感染を繰り返したため生後5か月時に摘出手術を行った.瘻孔は皮下脂肪内で盲端に終わり全摘出できた.病理所見では角化を伴う重層扁平上皮で覆われ毛包を伴っており,先天性皮膚洞と考えられ...
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Published in | 日本小児外科学会雑誌 Vol. 54; no. 2; pp. 290 - 294 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
20.04.2018
日本小児外科学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0288-609X 2187-4247 |
DOI | 10.11164/jjsps.54.2_290 |
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Summary: | 症例は5か月女児.生後2か月時に左側腹部の有毛性瘻孔に気付かれた.生後3か月時より瘻孔部の発赤を認めて抗菌薬治療が行われたが改善せずに当院紹介となった.初診時,瘻孔の周囲に約1 cmの皮下膿瘍を認めた.超音波検査で瘻孔は左腎下極レベルに存在し,背側へ約15 mm向かい胸腰筋膜の手前で盲端となっていた.炎症の消退後に施行したMRIで,深さ約17 mmの瘻孔は皮下脂肪内で盲端となり脊椎管との交通は認めなかった.その後も局所感染を繰り返したため生後5か月時に摘出手術を行った.瘻孔は皮下脂肪内で盲端に終わり全摘出できた.病理所見では角化を伴う重層扁平上皮で覆われ毛包を伴っており,先天性皮膚洞と考えられた.一般的に先天性皮膚洞は頭部からの仙尾部の正中皮膚に開口する小さな管腔あるいは陥凹とされている.本例は開口部が側腹部で非正中部と非常にまれな部位であったが,発症年齢より先天性皮膚洞と考えられた. |
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ISSN: | 0288-609X 2187-4247 |
DOI: | 10.11164/jjsps.54.2_290 |