メルファラン連日・大量投与に伴う悪心・嘔吐に対する‌多剤併用制吐療法の後方視的検討

「緒言」 現在, 自家末梢血幹細胞移植を伴うメルファラン大量化学療法は, 多発性骨髄腫に対する重要な治療戦略の1つとして位置づけられている.1) 本療法は, メルファランを高用量で用いることにより, 強い殺細胞作用を示し, 骨髄破壊的効果を期待するものである. そのため, 本療法施行中には, 頻発する副作用が問題となっている. 特に, メルファランで惹起される化学療法誘発性悪心・嘔吐(CINV : chemotherapy induced nausea and vomiting)は, 食欲低下, 低栄養など様々な悪影響を及ぼしている. そのため, 高度の易感染状態へ移行する移植患者に対して,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in医療薬学 Vol. 39; no. 1; pp. 18 - 24
Main Authors 杉井, 彦文, 岡野, 晃, 村頭, 智, 高良, 恒史, 淵田, 真一, 島崎, 千尋, 北澤, 文章, 初瀬, 真弓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 10.01.2013
日本医療薬学会
Online AccessGet full text
ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.39.18

Cover

More Information
Summary:「緒言」 現在, 自家末梢血幹細胞移植を伴うメルファラン大量化学療法は, 多発性骨髄腫に対する重要な治療戦略の1つとして位置づけられている.1) 本療法は, メルファランを高用量で用いることにより, 強い殺細胞作用を示し, 骨髄破壊的効果を期待するものである. そのため, 本療法施行中には, 頻発する副作用が問題となっている. 特に, メルファランで惹起される化学療法誘発性悪心・嘔吐(CINV : chemotherapy induced nausea and vomiting)は, 食欲低下, 低栄養など様々な悪影響を及ぼしている. そのため, 高度の易感染状態へ移行する移植患者に対して, CINVは感染症などの合併症および回復遅延のリスクを高める危険性が存在している.2) さらに, 患者の内服, 含嗽などのセルフケア不足やQoL (quality of life)を著しく低下させる要因ともなっている.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.39.18