脳主幹動脈損傷時の対処

脳動脈瘤の開頭手術においては, 常に動脈損傷の可能性があることを念頭において, 慎重に手術操作を進める必要がある. 予期せぬ事態は突然に起こるため, いつでもその対処が可能なように十分な備えをして手術に臨むことが重要である. 突発した動脈損傷に対し著者が緊急対応した脳主幹動脈損傷3例につき考察を加えて報告する. 「症例」〈症例1〉63歳女性, 右前大脳動脈(ACA)末梢部動脈瘤と右中大脳動脈瘤の合併例で, 同一開頭により, 先に前者のクリッピングを行った. 一時遮断クリップをACAのA2 segmentにかけ. 動脈瘤をクリッピング後, 一時遮断クリップをはずす際, 動脈瘤にかけたクリップを鉗...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 34; no. 2; pp. 109 - 113
Main Authors 伊藤, 聡, 原田, 直幸, 佐藤, 明善, 金子, 庸生, 北島, 悟, 岡部, 慎一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2006
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.34.109

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Summary:脳動脈瘤の開頭手術においては, 常に動脈損傷の可能性があることを念頭において, 慎重に手術操作を進める必要がある. 予期せぬ事態は突然に起こるため, いつでもその対処が可能なように十分な備えをして手術に臨むことが重要である. 突発した動脈損傷に対し著者が緊急対応した脳主幹動脈損傷3例につき考察を加えて報告する. 「症例」〈症例1〉63歳女性, 右前大脳動脈(ACA)末梢部動脈瘤と右中大脳動脈瘤の合併例で, 同一開頭により, 先に前者のクリッピングを行った. 一時遮断クリップをACAのA2 segmentにかけ. 動脈瘤をクリッピング後, 一時遮断クリップをはずす際, 動脈瘤にかけたクリップを鉗子に引っかけ, 動脈瘤がクリップごとちぎれた. 動脈瘤クリップは, 鉗子の裏にあり, 不用意に一時遮断クリップをはずしたためであった. ただちに深部縫合の準備をし, 再度血流遮断後, 欠損した血管壁を2針縫合し, クリップで補強した(Fig.1a).
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.34.109