気管支鏡的粘液栓吸引後に軽快したアレルギー性気管支肺真菌症の1例

背景.アレルギー性気管支肺真菌症では,囊胞化や線維化など肺の荒廃を呈することがあるため,早期診断と副腎皮質ステロイド薬や抗真菌薬による治療が推奨されている.症例.73歳の男性.左肺下葉の粘液栓周囲の陰影が悪化したため気管支鏡検査を施行した.左B*に粘液栓を認めたため,吸引除去した.菌種は同定できなかったが,グロコット染色で糸状菌を認め,アレルギー性気管支肺真菌症と診断した.気管支鏡検査後に症状が軽快したため,薬物療法で経過観察したところ,症状再燃はなく,CTで粘液栓の消失を認めた.結論.呼吸不全進行には注意を要するが,粘液栓が除去できた場合に,全身ステロイド投与や抗真菌薬で経過観察可能な症例も...

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Published in気管支学 Vol. 43; no. 3; pp. 266 - 271
Main Authors 森, 智紀, 髙橋, 達紀, 奥崎, 健, 三玉, 康幸, 船石, 邦彦, 妹尾, 美里, 尾下, 豪人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.05.2021
日本呼吸器内視鏡学会
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.43.3_266

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Summary:背景.アレルギー性気管支肺真菌症では,囊胞化や線維化など肺の荒廃を呈することがあるため,早期診断と副腎皮質ステロイド薬や抗真菌薬による治療が推奨されている.症例.73歳の男性.左肺下葉の粘液栓周囲の陰影が悪化したため気管支鏡検査を施行した.左B*に粘液栓を認めたため,吸引除去した.菌種は同定できなかったが,グロコット染色で糸状菌を認め,アレルギー性気管支肺真菌症と診断した.気管支鏡検査後に症状が軽快したため,薬物療法で経過観察したところ,症状再燃はなく,CTで粘液栓の消失を認めた.結論.呼吸不全進行には注意を要するが,粘液栓が除去できた場合に,全身ステロイド投与や抗真菌薬で経過観察可能な症例も存在することが示唆された.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.43.3_266