特殊な長鼻様臍ヘルニアに対して新しい臍形成術を施行した1例

症例は,1歳4か月男児で,円筒状・母指頭大の臍ヘルニアを認めた.手術適応と判断し,ヘルニア門の閉鎖と同時に臍形成術を施行した.通常の臍ヘルニアと同様にヘルニア門の縫合閉鎖後,皮膚切開線を臍上縁の皺に沿って延長し,臍輪全周皮膚切開とした.臍の円筒状側面部分の皮膚を真皮レベルで剥離除去し,皮下組織は円筒状に残した.臍輪周囲を全周性に縫合閉鎖し,臍窩形成のために臍底部を術後1週間ツッペルガーゼで圧迫固定した.術後2年経過した現在も,臍窩のある正常形態の臍を維持している.巨大臍ヘルニアにおける臍形成術は,多くの場合,余剰皮膚が経過とともに縮小することがあり,術後長期間の形態維持は容易ではない.本術式は...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 53; no. 4; pp. 954 - 957
Main Authors 川野, 晋也, 千葉, 正博, 中山, 智理, 杉山, 彰英, 土岐, 彰, 入江, 理絵, 大澤, 俊亮, 小嶌, 智美, 中神, 智和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.06.2017
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.53.4_954

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Summary:症例は,1歳4か月男児で,円筒状・母指頭大の臍ヘルニアを認めた.手術適応と判断し,ヘルニア門の閉鎖と同時に臍形成術を施行した.通常の臍ヘルニアと同様にヘルニア門の縫合閉鎖後,皮膚切開線を臍上縁の皺に沿って延長し,臍輪全周皮膚切開とした.臍の円筒状側面部分の皮膚を真皮レベルで剥離除去し,皮下組織は円筒状に残した.臍輪周囲を全周性に縫合閉鎖し,臍窩形成のために臍底部を術後1週間ツッペルガーゼで圧迫固定した.術後2年経過した現在も,臍窩のある正常形態の臍を維持している.巨大臍ヘルニアにおける臍形成術は,多くの場合,余剰皮膚が経過とともに縮小することがあり,術後長期間の形態維持は容易ではない.本術式は,臍窩部を利用するため皮膚が縮小する可能性が少なく,切開創が臍内にあるため整容性に優れており,長鼻様臍ヘルニアに対する臍形成術として有用である.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.53.4_954