妊娠中の梅毒治療にアモキシシリン内服を行った母から出生した児6例

梅毒合併妊婦にペニシリン(PC)治療を行うことで先天梅毒を防止する.世界的にはPC筋肉注射治療だが,日本では1950年代にPC筋肉注射による死亡事例を機にPC製剤の筋肉注射が難しく,経口PC薬のアモキシシリン(AMPC)を治療薬として使用している.このAMPC治療母体から出生した児に関する報告は少ない. 今回,2016〜2020年まで当院妊婦健診中にAMPC治療を受けた梅毒合併妊婦とその出生児6例を検討した.5例は妊娠15週までに,1例は妊娠22週からAMPC治療が開始された.全例AMPC1,500mg内服,内服期間の中央値は7.5週(6-12週).全例分娩1カ月以上前に内服を終了した.母治療...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本周産期・新生児医学会雑誌 Vol. 58; no. 3; pp. 561 - 566
Main Authors 新堂, 真利子, 武藤, はる香, 石田, 絵美, 山枡, 誠一, 楠本, 裕紀, 吉馴, 亮子, 島田, 勝子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本周産期・新生児医学会 2022
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1348-964X
2435-4996
DOI10.34456/jjspnm.58.3_561

Cover

More Information
Summary:梅毒合併妊婦にペニシリン(PC)治療を行うことで先天梅毒を防止する.世界的にはPC筋肉注射治療だが,日本では1950年代にPC筋肉注射による死亡事例を機にPC製剤の筋肉注射が難しく,経口PC薬のアモキシシリン(AMPC)を治療薬として使用している.このAMPC治療母体から出生した児に関する報告は少ない. 今回,2016〜2020年まで当院妊婦健診中にAMPC治療を受けた梅毒合併妊婦とその出生児6例を検討した.5例は妊娠15週までに,1例は妊娠22週からAMPC治療が開始された.全例AMPC1,500mg内服,内服期間の中央値は7.5週(6-12週).全例分娩1カ月以上前に内服を終了した.母治療前後の非特異的トレポネーマ(RPR)は5例で,1/4以上低減したが1例だけ低減せず児へPCG治療を行った.先天梅毒と診断された児はおらず梅毒合併妊婦へのAMPC治療は先天梅毒を防ぐ可能性が示された.
ISSN:1348-964X
2435-4996
DOI:10.34456/jjspnm.58.3_561