空腸閉鎖術後にEnterobacter cloacaeによる髄膜炎・脳室炎を合併し広範な大脳壊死を生じた新生児例
Enterobacter cloacaeはヒトの腸内に常在するグラム陰性桿菌であるが,免疫能の未熟な新生児には重篤な疾患を起こすことがある.特に髄膜炎を発症すると抗菌薬治療を行っても重篤な後遺症を残すことが多い.症例は在胎33週4日,出生体重2,309gの女児.空腸閉鎖術後にE. cloacae髄膜炎・脳室炎を発症し,高容量のカルバペネム系抗菌薬投与にも抵抗性で,大脳は広範囲にわたって壊死した.腸管内のE. cloacaeが手術侵襲によってbacterial translocationを起こし,髄膜炎を引き起こしたものと推測される.E. cloacaeは出生後短期間で腸管内に定着する可能性があ...
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Published in | 日本周産期・新生児医学会雑誌 Vol. 56; no. 2; pp. 335 - 342 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
2020
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Subjects | |
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ISSN | 1348-964X 2435-4996 |
DOI | 10.34456/jjspnm.56.2_335 |
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Summary: | Enterobacter cloacaeはヒトの腸内に常在するグラム陰性桿菌であるが,免疫能の未熟な新生児には重篤な疾患を起こすことがある.特に髄膜炎を発症すると抗菌薬治療を行っても重篤な後遺症を残すことが多い.症例は在胎33週4日,出生体重2,309gの女児.空腸閉鎖術後にE. cloacae髄膜炎・脳室炎を発症し,高容量のカルバペネム系抗菌薬投与にも抵抗性で,大脳は広範囲にわたって壊死した.腸管内のE. cloacaeが手術侵襲によってbacterial translocationを起こし,髄膜炎を引き起こしたものと推測される.E. cloacaeは出生後短期間で腸管内に定着する可能性があるため,新生児の消化管手術の際にはその定着を早期にとらえ,迅速かつ適切な感染対策をとることが重要である. |
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ISSN: | 1348-964X 2435-4996 |
DOI: | 10.34456/jjspnm.56.2_335 |