妊娠第3三半期に妊娠子宮嵌頓症を診断した場合に分娩時の重篤な合併症を回避するには:4例の比較

妊娠子宮嵌頓症は,過度に後屈した妊娠子宮が増大して骨盤腔に嵌頓した状態であり,重篤な合併症をきたしうる.無症候性の妊娠子宮嵌頓症を第3三半期に診断し,合併症なく帝王切開を行った4症例を経験した.3例はダグラス窩を占拠する筋腫を認め,1例はダグラス窩の癒着によるものであった.いずれの症例でも,腟鏡診では子宮腟部が腹側へ極端に偏移し,MRI所見で子宮の後屈所見と内子宮口の頭側への移動および子宮頸部の過伸展を認めたことから本症を疑った.全例,帝王切開時に術中超音波検査を行い,子宮筋層切開部を決定した.このように,身体所見から本症を疑い,画像診断をもとに術式を選択したことで帝王切開時の合併症の回避につ...

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Published in日本周産期・新生児医学会雑誌 Vol. 58; no. 2; pp. 334 - 340
Main Authors 小林, 康祐, 丸山, 陽介, 清水, 陽彦, 大藏, 慶憲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本周産期・新生児医学会 2022
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ISSN1348-964X
2435-4996
DOI10.34456/jjspnm.58.2_334

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Summary:妊娠子宮嵌頓症は,過度に後屈した妊娠子宮が増大して骨盤腔に嵌頓した状態であり,重篤な合併症をきたしうる.無症候性の妊娠子宮嵌頓症を第3三半期に診断し,合併症なく帝王切開を行った4症例を経験した.3例はダグラス窩を占拠する筋腫を認め,1例はダグラス窩の癒着によるものであった.いずれの症例でも,腟鏡診では子宮腟部が腹側へ極端に偏移し,MRI所見で子宮の後屈所見と内子宮口の頭側への移動および子宮頸部の過伸展を認めたことから本症を疑った.全例,帝王切開時に術中超音波検査を行い,子宮筋層切開部を決定した.このように,身体所見から本症を疑い,画像診断をもとに術式を選択したことで帝王切開時の合併症の回避につながった.
ISSN:1348-964X
2435-4996
DOI:10.34456/jjspnm.58.2_334