新規自己抗体産生機序~ミスフォールドタンパクのMHC class IIによる抗原提示

  自己免疫疾患において自己抗体産生機序はまだまだ不明な点が多い.何故自己抗原に対する抗体ができてしまうのか,また何故DNAの様な非ペプチドに対する抗体ができるのか,十分な説明は現在の免疫学の知識では困難である.最近,我々は新たな自己抗体産生機序を報告した.すなわち,正しい立体構造をとれていない(ミスフォールドした)タンパクが小胞体の中でMHC class IIと結合し,タンパクのまま細胞表面に提示されるのである.提示された抗原はT細胞ではなく,抗原特異的B細胞を直接刺激する.これまでにβ2ミクログロブリンを欠いたHLA class I分子,IgG heavy chain(IgGH),muta...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 37; no. 6; pp. 462 - 467
Main Authors 日和, 良介, 大村, 浩一郎, 荒瀬, 尚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2014
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ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.37.462

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Summary:  自己免疫疾患において自己抗体産生機序はまだまだ不明な点が多い.何故自己抗原に対する抗体ができてしまうのか,また何故DNAの様な非ペプチドに対する抗体ができるのか,十分な説明は現在の免疫学の知識では困難である.最近,我々は新たな自己抗体産生機序を報告した.すなわち,正しい立体構造をとれていない(ミスフォールドした)タンパクが小胞体の中でMHC class IIと結合し,タンパクのまま細胞表面に提示されるのである.提示された抗原はT細胞ではなく,抗原特異的B細胞を直接刺激する.これまでにβ2ミクログロブリンを欠いたHLA class I分子,IgG heavy chain(IgGH),mutationを入れたHELに関してMHCクラスII分子によるミスフォールドタンパクの抗原提示が示されている.さらに,IgGHの抗原提示においては関節リウマチの発症に感受性のあるHLA class IIは効率的にIgGHを細胞表面に提示しリウマトイド因子で認識されるが,感受性のないHLA class IIはIgGHを細胞表面に提示できなかった.このことから,疾患感受性HLAは自己抗原ペプチドとの親和性ではなく,ミスフォールドした自己抗原との親和性を反映しているという新たな可能性も示唆された.新たな自己抗体の産生機序として注目される.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.37.462