遺残組織を温存した解剖学的2束前十字靱帯再建術 : 非温存群との比較

「はじめに」 前十字靱帯(ACL)再建術の成績は, 近年大きな向上を示したが, 未だ不満な点も多く残されており, さらに改良の研究が続けられている. 著者らは, 基礎研究に基づいて新しい前内側および後外側線維束(AMB, PLB)の付着部位置の同定方法と経脛骨手技を骨子とする解剖学的2束ACL再建術を開発し, 前向き比較研究で良好な成績を確認し, この手技の有用性を報告してきた. しかしながら, 本術式では, 未だ移植腱の治癒が遅く, スポーツ復帰まで長期間を要するなど未解決の問題が存在する. 一方, 近年, ACLには数種の知覚性終末器官の存在が証明され, ACL損傷膝においては, 関節固有...

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Published in日本関節病学会誌 Vol. 36; no. 2; pp. 113 - 120
Main Authors 安田, 和則, 岩崎, 倫政, 近藤, 英司, 小野寺, 純, 八木, 知徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本関節病学会 2017
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ISSN1883-2873
1884-9067
DOI10.11551/jsjd.36.113

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Summary:「はじめに」 前十字靱帯(ACL)再建術の成績は, 近年大きな向上を示したが, 未だ不満な点も多く残されており, さらに改良の研究が続けられている. 著者らは, 基礎研究に基づいて新しい前内側および後外側線維束(AMB, PLB)の付着部位置の同定方法と経脛骨手技を骨子とする解剖学的2束ACL再建術を開発し, 前向き比較研究で良好な成績を確認し, この手技の有用性を報告してきた. しかしながら, 本術式では, 未だ移植腱の治癒が遅く, スポーツ復帰まで長期間を要するなど未解決の問題が存在する. 一方, 近年, ACLには数種の知覚性終末器官の存在が証明され, ACL損傷膝においては, 関節固有感覚の低下が生じることが明らかとなった. 移植腱を用いた靱帯再建術は, 関節位置覚および運動覚を経時的に改善し, 電気生理学的にも再建靱帯内に神経成分が再生することが明らかとなっている.
ISSN:1883-2873
1884-9067
DOI:10.11551/jsjd.36.113