SAH術後管理における低分子デキストランのピットフォール

くも膜下出血後の脳血管攣縮期の循環管理として, hypervolemia, hemodilution, hypertensionの3H療法が一般的に行われており4), 臨床の場ではhemodilution, hypervolemiaを目的として低分子デキストラン製剤などの代用血漿剤がしばしば使用されている. しかしながら, その副作用として腎不全などは周知されているが, 使用方法によっては出血傾向をもたらすことはあまり知られていない3-5). 今回われわれはくも膜下出血に対して開頭クリッピング術を施行された患者で遅発性の頭蓋内出血性合併症をきたした症例について, 血小板, 凝固系のマーカーをr...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 33; no. 2; pp. 122 - 126
Main Authors 米田, 浩, 加藤, 祥一, 秋村, 龍夫, 藤澤, 博亮, 石原, 秀行, 足立, 秀光, 杉山, 修一, 鈴木, 倫保
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2005
日本脳卒中の外科学会
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Summary:くも膜下出血後の脳血管攣縮期の循環管理として, hypervolemia, hemodilution, hypertensionの3H療法が一般的に行われており4), 臨床の場ではhemodilution, hypervolemiaを目的として低分子デキストラン製剤などの代用血漿剤がしばしば使用されている. しかしながら, その副作用として腎不全などは周知されているが, 使用方法によっては出血傾向をもたらすことはあまり知られていない3-5). 今回われわれはくも膜下出血に対して開頭クリッピング術を施行された患者で遅発性の頭蓋内出血性合併症をきたした症例について, 血小板, 凝固系のマーカーをretrospectiveに解析し長期低分子デキストラン使用の及ぼす影響について検討した. 対象および方法 2000年4月から2003年3月までに当科にてくも膜下出血に対して急性期に開頭クリッピング術を施行された52人を対象とした. なお重篤な心不全, 腎不全, 悪性腫瘍を合併した症例や術後重篤な感染症や肝機能障害を併発した症例は除外した.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.33.122