エチレンオキサイドガス滅菌後の矯正用プライヤーにおける有害残留物の分析
「緒言」エチレンオキサイドガス(EOG)滅菌は, 高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)の温度, あるいは湿度に耐性でない医療器具の滅菌に, これまで多用されてきた1). このEOGは, 滅菌対象物の材質によって吸着率が大きく異なり, プラスチック, ゴム, および水などの液状物質では, 一定のエアレーションを行った後にもエチレンオキサイドやその反応産物が残留することが知られている2). 器具に残留したこれらの物質は, その濃度によっては, 皮膚(粘膜)への刺激性, 溶血作用, 神経障害, 変異原性, および発癌性などの急性, 慢性毒性を示すことが近年報告され, 我が国の医療現場でも問題視されるように...
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Published in | 九州歯科学会雑誌 Vol. 55; no. 6; pp. 356 - 363 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
九州歯科学会
2001
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Summary: | 「緒言」エチレンオキサイドガス(EOG)滅菌は, 高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)の温度, あるいは湿度に耐性でない医療器具の滅菌に, これまで多用されてきた1). このEOGは, 滅菌対象物の材質によって吸着率が大きく異なり, プラスチック, ゴム, および水などの液状物質では, 一定のエアレーションを行った後にもエチレンオキサイドやその反応産物が残留することが知られている2). 器具に残留したこれらの物質は, その濃度によっては, 皮膚(粘膜)への刺激性, 溶血作用, 神経障害, 変異原性, および発癌性などの急性, 慢性毒性を示すことが近年報告され, 我が国の医療現場でも問題視されるようになってきた3). 一方, 矯正診療で使われるプライヤーは, 殺菌処理の過程で, 刃先の欠失やジョイント部への消毒薬や洗浄水の停滞に伴なう腐蝕などが生じやすく4), 多くの歯科用金属製器具のなかでも特にデリケートな器具といわれている. したがって, 多くの歯科医療機関において, プライヤーの殺菌処理には高圧蒸気滅菌が用いられず, 各種の消毒薬による清拭処理に留まっていることが少なくない. しかし, 各種の感染症への対策から, アメリカ合衆国のAmerican Dental Association(ADA)およびCenter of Disease Control and Prevention(CDC)においても, 一般の歯科用器具と矯正用プライヤーとの間に殺菌処理に関する区別を設けず, 全ての使用器具を滅菌するよう勧告している5, 6). |
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ISSN: | 0368-6833 1880-8719 |
DOI: | 10.2504/kds.55.356 |