切削エナメル質表面の形態的推移

目的 : レストシートとガイドプレーンは, 一般的にはエナメル質内にとどめた形態を絶対条件とするものの, 天然歯の支台歯表面を直接切削して形成される. そして, その切削部分は, 長期間, 様々な口腔環境に曝される. これはう蝕予防や歯質の長期保存の見地から見ても危険性が高い. 本研究ではこのエナメル質の切削歯面表層がどのような変化を発現するのか実験的に観察した. 方法 : 抜去予定の第三大臼歯頬・舌側面に切削面を付与し, 切削後3か月, 6か月に抜歯し, 走査型電子顕微鏡 (SEM), 透過型電子顕微鏡 (TEM), 高分解能電子顕微鏡 (HRTEM) にて観察した. また, 被験者の唾液量...

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Published in日本補綴歯科学会雑誌 Vol. 52; no. 1; pp. 77 - 86
Main Author 重盛, 登世
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本補綴歯科学会 2008
日本補綴歯科学会
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ISSN0389-5386
1883-177X
DOI10.2186/jjps.52.77

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Summary:目的 : レストシートとガイドプレーンは, 一般的にはエナメル質内にとどめた形態を絶対条件とするものの, 天然歯の支台歯表面を直接切削して形成される. そして, その切削部分は, 長期間, 様々な口腔環境に曝される. これはう蝕予防や歯質の長期保存の見地から見ても危険性が高い. 本研究ではこのエナメル質の切削歯面表層がどのような変化を発現するのか実験的に観察した. 方法 : 抜去予定の第三大臼歯頬・舌側面に切削面を付与し, 切削後3か月, 6か月に抜歯し, 走査型電子顕微鏡 (SEM), 透過型電子顕微鏡 (TEM), 高分解能電子顕微鏡 (HRTEM) にて観察した. また, 被験者の唾液量, 唾液緩衝能, う蝕活動性についても測定した. 結果 : 今回の被験者のほとんどが, 唾液量は中流出量, 唾液緩衝能は高緩衝能, う蝕活動性試験は注意域を示した. SEMによる表層観察と断面観察では, 切削後3か月, 6か月の切削面, 非切削面のいずれにおいてもエナメル質表層に細菌叢が観察されたが, 表層のエナメル小柱は破壊されていなかった. TEM観察では切削面, 非切削面ともにアパタイト結晶の溶解があり, 結晶の破壊が認められたが, 特に切削後6か月のものではより顕著に出現していた. 結論 : エナメル質切削面は非切削面と同様, 結晶の溶解により結晶が破壊されていた.
ISSN:0389-5386
1883-177X
DOI:10.2186/jjps.52.77