心房筋リモデリングに対するアンジオテンシン受容体遮断薬の作用 ―抗酸化・抗炎症作用の可能性
「I. はじめに」心房細動(AF)で生ずる心房筋リモデリングにおいて, レニン・アンジオテンシン系刺激が催不整脈的に作用することが示されている1)~3). 昇圧系であるレニン・アンジオテンシン系刺激による心筋壁張力の増大, あるいは心筋細胞のアンジオテンシン受容体(AT1)刺激は, 細胞の肥大・線維化・アポトーシスを引き起こし, 心筋細胞の変性や間質線維化をきたす. 結果として生ずる細胞間の電気的連結破壊が伝導速度を低下させ, AFの維持機構(driver)としてのリエントリー発生と維持を助長することが, その主たる機序であると考えられている. レニン・アンジオテンシン系抑制薬はこのような線維...
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Published in | 心電図 Vol. 29; no. 2; pp. 163 - 169 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本不整脈心電学会
2009
日本心電学会 |
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ISSN | 0285-1660 1884-2437 |
DOI | 10.5105/jse.29.163 |
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Summary: | 「I. はじめに」心房細動(AF)で生ずる心房筋リモデリングにおいて, レニン・アンジオテンシン系刺激が催不整脈的に作用することが示されている1)~3). 昇圧系であるレニン・アンジオテンシン系刺激による心筋壁張力の増大, あるいは心筋細胞のアンジオテンシン受容体(AT1)刺激は, 細胞の肥大・線維化・アポトーシスを引き起こし, 心筋細胞の変性や間質線維化をきたす. 結果として生ずる細胞間の電気的連結破壊が伝導速度を低下させ, AFの維持機構(driver)としてのリエントリー発生と維持を助長することが, その主たる機序であると考えられている. レニン・アンジオテンシン系抑制薬はこのような線維化を抑制して抗不整脈的に作用すると考えられ, いわゆるupstream治療としての効果が期待されている2)~4). 一方, 本来downstream治療に位置づけられるべき, 抗不整脈薬(イオンチャネル作動薬)のなかに, リモデリングで変化するイオンチャネル発現の変化に作用する薬物があることが報告されている5),6). |
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ISSN: | 0285-1660 1884-2437 |
DOI: | 10.5105/jse.29.163 |