免疫細胞化学的な証明が診断に有用であった紡錘細胞型甲状腺髄様癌の1例

われわれは,紡錘細胞型の細胞像を呈した77歳の甲状腺髄様癌の症例を報告する。針穿刺吸引細胞診では,炎症や出血のない背景を伴い紡錘型の細胞が多数出現していた。細胞は悪性所見に乏しく均一的であった。腫瘍の確定のため免疫細胞化学染色が行なわれた。染色の結果,CEA,カルシトニンが陽性となり,紡錘細胞亜型髄様癌と推定することができた。細胞はpap染色では悪性と診断することが難しく,診断には免疫細胞化学的検索が必要であった。髄様癌は細胞像が多彩であり,形態診断のみでは診断するのは困難である。当院では穿刺吸引細胞診検体は全てLBC固定液で保存されており,免疫細胞化学のような再検討のためにはLBC固定液での...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 65; no. 4; pp. 868 - 871
Main Authors 池田, 聡, 内田, 温, 井上, 和成, 鈴木, 恵子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2016
日本農村医学会
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Summary:われわれは,紡錘細胞型の細胞像を呈した77歳の甲状腺髄様癌の症例を報告する。針穿刺吸引細胞診では,炎症や出血のない背景を伴い紡錘型の細胞が多数出現していた。細胞は悪性所見に乏しく均一的であった。腫瘍の確定のため免疫細胞化学染色が行なわれた。染色の結果,CEA,カルシトニンが陽性となり,紡錘細胞亜型髄様癌と推定することができた。細胞はpap染色では悪性と診断することが難しく,診断には免疫細胞化学的検索が必要であった。髄様癌は細胞像が多彩であり,形態診断のみでは診断するのは困難である。当院では穿刺吸引細胞診検体は全てLBC固定液で保存されており,免疫細胞化学のような再検討のためにはLBC固定液での保存が有効と考えられた。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.65.868