梅肉エキス粒状製剤の誤嚥により気管支潰瘍を来した症例

背景.異物誤嚥による気管支潰瘍の形成はいくつか報告があるものの,ほとんどは食物や歯牙であり,梅肉エキスの報告はない.症例.92歳女性.市販の梅肉エキス含有の粒状栄養補助食品を5粒食べた後から喘鳴,呼吸困難が出現し,前医を受診した.胸部CTで右底幹に高吸収異物を認め,内視鏡による除去を試みたが困難であったため当院を紹介された.局所の抗炎症作用目的でステロイドを投与し,誤嚥2日後に気管支鏡検査を施行したところ,右B9に嵌頓するオリーブ色の異物を認め,把持鉗子で除去した.除去後の内腔は全周性に浮腫を来しており,白苔や出血,壊死物質を認め一部潰瘍を形成していた.異物は症状出現前に服用した健康食品である...

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Published in気管支学 Vol. 44; no. 3; pp. 235 - 239
Main Authors 新井, 将弘, 満屋, 奨, 永田, 憲司, 木下, 善詞, 細井, 慶太, 山内, 桂二郎, 原, 彩子, 高, 祥泰, 原, 聡志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.05.2022
日本呼吸器内視鏡学会
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.44.3_235

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Summary:背景.異物誤嚥による気管支潰瘍の形成はいくつか報告があるものの,ほとんどは食物や歯牙であり,梅肉エキスの報告はない.症例.92歳女性.市販の梅肉エキス含有の粒状栄養補助食品を5粒食べた後から喘鳴,呼吸困難が出現し,前医を受診した.胸部CTで右底幹に高吸収異物を認め,内視鏡による除去を試みたが困難であったため当院を紹介された.局所の抗炎症作用目的でステロイドを投与し,誤嚥2日後に気管支鏡検査を施行したところ,右B9に嵌頓するオリーブ色の異物を認め,把持鉗子で除去した.除去後の内腔は全周性に浮腫を来しており,白苔や出血,壊死物質を認め一部潰瘍を形成していた.異物は症状出現前に服用した健康食品であることを確認した.除去9日後に再度気管支鏡検査を施行し,気管支潰瘍は改善していることを確認して退院となった.結論.栄養補助食品による気管支潰瘍に対して気管支鏡検査による異物除去術が奏功した症例を経験したので,文献的考察を含めてこれを報告する.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.44.3_235