尺側皮静脈をグラフトとして使用した膝窩動脈瘤切除術の1例

膝窩動脈瘤に対する最も根治的な治療は後方アプローチによる瘤切除術と考えられている.しかし,本術式では腹臥位での手術となるが故に血行再建に用いる自家静脈の選択と採取法が大きな問題となる.症例は73歳の男性.左膝窩部痛,下腿のしびれ感,左間欠性跛行にて整形外科医院を受診した.この際,膝窩部の腫瘤を触知され,足関節/上腕血圧比の低下(0.62)を認めたため精査目的にて当科に紹介となった.造影CTとMRIで約4cmに拡大し血栓閉塞した膝窩動脈瘤の存在が明らかとなった.虚血症状と神経圧迫症状の改善を目的に腹臥位による膝窩部後方アプローチで瘤切除術を行った.術前に超音波検査で左尺側皮静脈が径,長さともに代...

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Published in山口医学 Vol. 67; no. 4; pp. 201 - 208
Main Authors 河野, 和明, 古谷, 彰, 竹内, 雅大, 小野田, 雅彦, 岩村, 道憲, 加藤, 智栄, 吉田, 久美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 28.12.2018
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ISSN0513-1731
1880-4462
DOI10.2342/ymj.67.201

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Summary:膝窩動脈瘤に対する最も根治的な治療は後方アプローチによる瘤切除術と考えられている.しかし,本術式では腹臥位での手術となるが故に血行再建に用いる自家静脈の選択と採取法が大きな問題となる.症例は73歳の男性.左膝窩部痛,下腿のしびれ感,左間欠性跛行にて整形外科医院を受診した.この際,膝窩部の腫瘤を触知され,足関節/上腕血圧比の低下(0.62)を認めたため精査目的にて当科に紹介となった.造影CTとMRIで約4cmに拡大し血栓閉塞した膝窩動脈瘤の存在が明らかとなった.虚血症状と神経圧迫症状の改善を目的に腹臥位による膝窩部後方アプローチで瘤切除術を行った.術前に超音波検査で左尺側皮静脈が径,長さともに代用血管として最も適合することを確かめ,さらに腹臥位のまま採取できることも確認したうえで,この静脈を用いて血行再建を行った.今回,我々は尺側皮静脈を代用血管として使用することで,腹臥位から仰臥位へ体位変換することなく瘤切除から血行再建まで完遂した症例を経験したので報告する.
ISSN:0513-1731
1880-4462
DOI:10.2342/ymj.67.201