自己抗体保有患者の同種抗体検出におけるLISSを用いた自己抗体吸着法の有用性の検討

<背景>自己抗体保有患者は自己抗体の他に同種抗体を保有する頻度が多いため1)2),共存する同種抗体の検出が重要となる.ポリエチレングリコール(PEG)吸着法は自己抗体吸着法として一般的に用いられているが,低力価の同種抗体も吸着されると指摘する報告がある3)4).海外では低イオン強度溶液(low ionic strength solution;LISS)を用いた自己抗体吸着法(以下LISS吸着法)も短時間での自己抗体吸着において有用であるという報告5)があるが本邦では一般的ではない6).今回我々はLISS吸着法が同種抗体の検出に有用であった3症例を経験したので報告する.<方法>自己抗体を保有する...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 65; no. 1; pp. 98 - 102
Main Authors 林, 泰弘, 渡邊, 千秋, 秋沢, 宏次, 豊嶋, 崇徳, 白鳥, 聡一, 伊藤, 誠, 上床, 貴代, 高橋, 秀一郎, 宮下, 直洋, 橋本, 大吾, 早瀬, 英子, 魚住, 諒, 杉田, 純一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 28.02.2019
日本輸血・細胞治療学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1881-3011
1883-0625
DOI10.3925/jjtc.65.98

Cover

More Information
Summary:<背景>自己抗体保有患者は自己抗体の他に同種抗体を保有する頻度が多いため1)2),共存する同種抗体の検出が重要となる.ポリエチレングリコール(PEG)吸着法は自己抗体吸着法として一般的に用いられているが,低力価の同種抗体も吸着されると指摘する報告がある3)4).海外では低イオン強度溶液(low ionic strength solution;LISS)を用いた自己抗体吸着法(以下LISS吸着法)も短時間での自己抗体吸着において有用であるという報告5)があるが本邦では一般的ではない6).今回我々はLISS吸着法が同種抗体の検出に有用であった3症例を経験したので報告する.<方法>自己抗体を保有する3患者においてLISS吸着法を行った.3カ月以内に輸血歴のない患者は自己赤血球を用い,輸血歴のある患者は患者とRh,Kidd,Diego同型の酵素処理した他家赤血球を用いて自己抗体の吸着を行い,上清で同種抗体の検索を行った.<結果>3例共にLISS吸着法にて同種抗体が検出された.<考察>LISS吸着法は自己抗体の吸着および,共存する同種抗体の検出において有用であると考えられた.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.65.98