上顎の補綴様式が下顎皮質骨厚さに及ぼす影響について
目的：今回，われわれは上顎臼歯部の補綴様式の違いが下顎皮質骨の厚みに与える影響について，コンピュータ診断支援システムを用いて調査し，若干の知見を得たので報告する．対象および方法：対象としては研究所所属の2施設において，2017年1月までに本研究に同意を得た45歳から90歳の平均年齢67.4歳の90名の女性となった．対象となった補綴物は，上顎臼歯部には片側ごとに135例の固定式補綴物，22例の可撤式補綴物であった．固定式補綴物の135例は，下顎臼歯部が56例の固定式補綴物，79例のインプラント支持補綴装置であった．それに対し22例の可撤式補綴物は，下顎臼歯部が18例の固定式補綴物，インプラント支...
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| Published in | 日本口腔インプラント学会誌 Vol. 32; no. 1; pp. 43 - 47 |
|---|---|
| Main Authors | , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
31.03.2019
日本口腔インプラント学会 |
| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0914-6695 2187-9117 |
| DOI | 10.11237/jsoi.32.43 |
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| Abstract | 目的：今回，われわれは上顎臼歯部の補綴様式の違いが下顎皮質骨の厚みに与える影響について，コンピュータ診断支援システムを用いて調査し，若干の知見を得たので報告する．対象および方法：対象としては研究所所属の2施設において，2017年1月までに本研究に同意を得た45歳から90歳の平均年齢67.4歳の90名の女性となった．対象となった補綴物は，上顎臼歯部には片側ごとに135例の固定式補綴物，22例の可撤式補綴物であった．固定式補綴物の135例は，下顎臼歯部が56例の固定式補綴物，79例のインプラント支持補綴装置であった．それに対し22例の可撤式補綴物は，下顎臼歯部が18例の固定式補綴物，インプラント支持補綴装置は4例であった．なお問診にて骨粗鬆症あるいはビスフォスフォネート投薬中の患者は除外した．方法としては，上顎の片側ごとの補綴様式の違いに対する下顎下縁の皮質骨の厚さ（mandibular cortical width，以後MCW）をパノラマエックス線写真上でコンピュータ診断支援システム（Computer-aided Diagnostic System：CAD） PanoSCOPE®を用いて計測した．結果：上顎が固定式補綴物の平均MCWは3.70 mm，可撤式補綴物の平均MCWが3.14 mmを示し，いずれも年齢とともに減少した．上顎臼歯部が固定式補綴物の平均MCWは固定式補綴物では3.84 mm，インプラント支持補綴装置では3.63 mmであり，いずれも年齢とともに減少していた．上顎臼歯部の補綴様式別のMCWでは，上顎臼歯部に135例の固定式補綴物のMCWは年齢とともに減少を示した．22例の可撤式補綴物のMCWは固定式補綴物と同様に年齢とともに減少を示した．結論：上顎に可撤式補綴物より固定式補綴物を装着している症例で，MCWが維持されていたことから，咬合力がMCWに影響を与えていたことが示唆された． |
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| AbstractList | 「目的」 : 今回, われわれは上顎臼歯部の補綴様式の違いが下顎皮質骨の厚みに与える影響について, コンピュータ診断支援システムを用いて調査し, 若干の知見を得たので報告する. 「対象および方法」 : 対象としては研究所所属の2施設において, 2017年1月までに本研究に同意を得た45歳から90歳の平均年齢67.4歳の90名の女性となった. 対象となった補綴物は, 上顎臼歯部には片側ごとに135例の固定式補綴物, 22例の可撤式補綴物であった. 固定式補綴物の135例は, 下顎臼歯部が56例の固定式補綴物, 79例のインプラント支持補綴装置であった. それに対し22例の可撤式補綴物は, 下顎臼歯部が18例の固定式補綴物, インプラント支持補綴装置は4例であった. なお問診にて骨粗鬆症あるいはビスフォスフォネート投薬中の患者は除外した. 方法としては, 上顎の片側ごとの補綴様式の違いに対する下顎下縁の皮質骨の厚さ (mandibular cortical width, 以後MCW) をパノラマエックス線写真上でコンピュータ診断支援システム (Computer-aided Diagnostic System : CAD) PanoSCOPE(R)を用いて計測した. 「結果」 : 上顎が固定式補綴物の平均MCWは3.70mm, 可撤式補綴物の平均MCWが3.14mmを示し, いずれも年齢とともに減少した. 上顎臼歯部が固定式補綴物の平均MCWは固定式補綴物では3.84mm, インプラント支持補綴装置では3.63mmであり, いずれも年齢とともに減少していた. 上顎臼歯部の補綴様式別のMCWでは, 上顎臼歯部に135例の固定式補綴物のMCWは年齢とともに減少を示した. 22例の可撤式補綴物のMCWは固定式補綴物と同様に年齢とともに減少を示した. 「結論」 : 上顎に可撤式補綴物より固定式補綴物を装着している症例で, MCWが維持されていたことから, 咬合力がMCWに影響を与えていたことが示唆された. 目的：今回，われわれは上顎臼歯部の補綴様式の違いが下顎皮質骨の厚みに与える影響について，コンピュータ診断支援システムを用いて調査し，若干の知見を得たので報告する．対象および方法：対象としては研究所所属の2施設において，2017年1月までに本研究に同意を得た45歳から90歳の平均年齢67.4歳の90名の女性となった．対象となった補綴物は，上顎臼歯部には片側ごとに135例の固定式補綴物，22例の可撤式補綴物であった．固定式補綴物の135例は，下顎臼歯部が56例の固定式補綴物，79例のインプラント支持補綴装置であった．それに対し22例の可撤式補綴物は，下顎臼歯部が18例の固定式補綴物，インプラント支持補綴装置は4例であった．なお問診にて骨粗鬆症あるいはビスフォスフォネート投薬中の患者は除外した．方法としては，上顎の片側ごとの補綴様式の違いに対する下顎下縁の皮質骨の厚さ（mandibular cortical width，以後MCW）をパノラマエックス線写真上でコンピュータ診断支援システム（Computer-aided Diagnostic System：CAD） PanoSCOPE®を用いて計測した．結果：上顎が固定式補綴物の平均MCWは3.70 mm，可撤式補綴物の平均MCWが3.14 mmを示し，いずれも年齢とともに減少した．上顎臼歯部が固定式補綴物の平均MCWは固定式補綴物では3.84 mm，インプラント支持補綴装置では3.63 mmであり，いずれも年齢とともに減少していた．上顎臼歯部の補綴様式別のMCWでは，上顎臼歯部に135例の固定式補綴物のMCWは年齢とともに減少を示した．22例の可撤式補綴物のMCWは固定式補綴物と同様に年齢とともに減少を示した．結論：上顎に可撤式補綴物より固定式補綴物を装着している症例で，MCWが維持されていたことから，咬合力がMCWに影響を与えていたことが示唆された． |
| Author | 江原, 雄二 大西, 吉之 松木, 直人 神田, 省吾 桑原, 明彦 山上, 哲贒 |
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| ContentType | Journal Article |
| Copyright | 2019 公益社団法人日本口腔インプラント学会 |
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| CorporateAuthor | 所長 山上哲賢 日本口腔インプラント学会 近畿・北陸支部 (京都インプラント研究所 |
| CorporateAuthor_xml | – name: 日本口腔インプラント学会 近畿・北陸支部 (京都インプラント研究所 – name: 所長 山上哲賢 |
| DOI | 10.11237/jsoi.32.43 |
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| EISSN | 2187-9117 |
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| ISSN | 0914-6695 |
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| Issue | 1 |
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| PublicationCentury | 2000 |
| PublicationDate | 20190331 |
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| PublicationDecade | 2010 |
| PublicationTitle | 日本口腔インプラント学会誌 |
| PublicationTitleAlternate | 日口腔インプラント誌 |
| PublicationYear | 2019 |
| Publisher | 公益社団法人 日本口腔インプラント学会 日本口腔インプラント学会 |
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| References | 3) 勝又明敏，藤田廣志，田口 明ほか．骨粗鬆症スクリーニングのためのコンピュータによる下顎骨下縁皮質骨X線画像解析法．日口科学誌 2016；65(3)：256-263. 7) 宗像源博，塩田 真，誉田栄一，ほか．下顎片側遊離端欠損症例におけるQCT法を用いた下顎骨骨密度の測定．日口腔インプラント誌 2002；15：412-417 5) 五十嵐祐二，高森 等，代居 敬．パノラマエックス線写真の下顎皮質骨指標と顎骨・全身骨骨密度との関係．日口腔インプラント誌 2006；19：3-13 6) 松本拓也，林 達郎，原 武史，ほか．歯科パノラマX線写真における動的輪郭モデルを用いた下顎皮質骨の厚みの自動計測．信学技報 2011；32：1-5 2) 藤田広志，勝又明敏，原 武史，ほか．「研究プロジェクト報告」文部科学省地域イノベーション戦略支援プログラム(都市エリア型)岐阜県南部エリアにおける「歯科領域における画像診断システムの開発」．医用画像情報会誌 2013；30(1)：18-30 1) 福井達真，勝又明敏，藤原 周．パノラマX線写真における下顎皮質骨厚さへの影響因子．歯科放射線 2015；55(1，2，3，4)：51-59. 9) 三谷春保，小林義典，赤川安正編．歯学生のパーシャルデンチャ―．東京：医歯薬出版，79-83 8) 和田卓郎．骨粗鬆症の診断への顎口腔領域からの診断へのアプローチ．松本歯学 1996；22：1-7 11) Misch CE：前田芳信．東京：永末書店，133-145，2007：DENTAL IMPLANT PROSTHETICS. 第1版，St Louis : ELSEVIER MOSBY, 2005. 4) 木下三博，寺田利久，河出任弘，ほか．下顎骨海綿骨の骨質に及ぼすインプラントの影響．日口腔インプラント誌 2007；20：630-635 10) 岩田健男，河津 寛．欠損補綴法のオプションとしてのインプラント補綴．臨床家のためのインプラント補綴．Dental DIAMOND 2002；27(381)：16-25 |
| References_xml | – reference: 2) 藤田広志，勝又明敏，原 武史，ほか．「研究プロジェクト報告」文部科学省地域イノベーション戦略支援プログラム(都市エリア型)岐阜県南部エリアにおける「歯科領域における画像診断システムの開発」．医用画像情報会誌 2013；30(1)：18-30． – reference: 10) 岩田健男，河津 寛．欠損補綴法のオプションとしてのインプラント補綴．臨床家のためのインプラント補綴．Dental DIAMOND 2002；27(381)：16-25． – reference: 8) 和田卓郎．骨粗鬆症の診断への顎口腔領域からの診断へのアプローチ．松本歯学 1996；22：1-7． – reference: 7) 宗像源博，塩田 真，誉田栄一，ほか．下顎片側遊離端欠損症例におけるQCT法を用いた下顎骨骨密度の測定．日口腔インプラント誌 2002；15：412-417． – reference: 5) 五十嵐祐二，高森 等，代居 敬．パノラマエックス線写真の下顎皮質骨指標と顎骨・全身骨骨密度との関係．日口腔インプラント誌 2006；19：3-13． – reference: 4) 木下三博，寺田利久，河出任弘，ほか．下顎骨海綿骨の骨質に及ぼすインプラントの影響．日口腔インプラント誌 2007；20：630-635． – reference: 3) 勝又明敏，藤田廣志，田口 明ほか．骨粗鬆症スクリーニングのためのコンピュータによる下顎骨下縁皮質骨X線画像解析法．日口科学誌 2016；65(3)：256-263. – reference: 11) Misch CE：前田芳信．東京：永末書店，133-145，2007：DENTAL IMPLANT PROSTHETICS. 第1版，St Louis : ELSEVIER MOSBY, 2005. – reference: 1) 福井達真，勝又明敏，藤原 周．パノラマX線写真における下顎皮質骨厚さへの影響因子．歯科放射線 2015；55(1，2，3，4)：51-59. – reference: 9) 三谷春保，小林義典，赤川安正編．歯学生のパーシャルデンチャ―．東京：医歯薬出版，79-83． – reference: 6) 松本拓也，林 達郎，原 武史，ほか．歯科パノラマX線写真における動的輪郭モデルを用いた下顎皮質骨の厚みの自動計測．信学技報 2011；32：1-5． |
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| SourceID | medicalonline jstage |
| SourceType | Publisher |
| StartPage | 43 |
| SubjectTerms | MCW（mandibular cortical width） コンピュータ診断支援システム 咬合 |
| Title | 上顎の補綴様式が下顎皮質骨厚さに及ぼす影響について |
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| ispartofPNX | 日本口腔インプラント学会誌, 2019/03/31, Vol.32(1), pp.43-47 |
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