進行性に巨大なVarixを形成した上錐体静脈洞部硬膜動静脈瘻の1例

「はじめに」上錐体静脈洞部(superior petrosal sinus, SPS)の硬膜動静脈瘻(dAVF)は, 頭蓋内のdAVFの中でも比較的まれであるが, 出血発症が多いことで知られている1)3). 今回, SPS部のdAVFに伴う静脈瘤(varix)が比較的短期間に増大し, 小脳と脳幹への圧迫症状を示した1例を経験した. varixの切除を要するようなdAVFはまれであり, 考察を加え報告する. 「症例」症例:61歳の男性. 主訴:頭痛, 意識障害. 既往歴:数年前に交通外傷があり, その後統合失調症と診断され近医にて入院加療中であった. 現病歴:1ヵ月前に頭痛のために近医で頭部CT...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 36; no. 5; pp. 399 - 403
Main Authors 木内, 智也, 松崎, 和仁, 松原, 俊二, 佐藤, 浩一, 永廣, 信治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2008
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.36.399

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Summary:「はじめに」上錐体静脈洞部(superior petrosal sinus, SPS)の硬膜動静脈瘻(dAVF)は, 頭蓋内のdAVFの中でも比較的まれであるが, 出血発症が多いことで知られている1)3). 今回, SPS部のdAVFに伴う静脈瘤(varix)が比較的短期間に増大し, 小脳と脳幹への圧迫症状を示した1例を経験した. varixの切除を要するようなdAVFはまれであり, 考察を加え報告する. 「症例」症例:61歳の男性. 主訴:頭痛, 意識障害. 既往歴:数年前に交通外傷があり, その後統合失調症と診断され近医にて入院加療中であった. 現病歴:1ヵ月前に頭痛のために近医で頭部CTが施行されたが, 異常は指摘されなかった(Fig. 1A). 今回突然の後頭部痛と意識障害が出現し, 近医を救急受診した. 頭部CTにて出血を認めたため当院を紹介された. 入院時神経学的所見:来院時の意識レベルは傾眠でJCSI-1, 構音障害と右共同偏視および左小脳失調を認めた.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.36.399