Acinar-ductal metaplasiaの形態学的特徴とCD56免疫染色の有用性に関する病理学的検討

膵のacinar-ductal metaplasia(ADM)の形態学的特徴と免疫染色の有用性を明らかにする目的で,剖検例83例,閉塞性膵炎15例,腫瘤形成性慢性膵炎8例を組織学的に,およびCD56,サイトケラチン19(CK19)の免疫染色にて検討した.剖検例の50例(60%),閉塞性膵炎の全例(100%),慢性膵炎の7例(88%)にADMが認められた.ADMの病変部では正常膵にみられる紫の色調が低下し,腺房腔が膨らんだような微小嚢胞状構造(特に剖検例において)や小型導管様構造(特に閉塞性膵炎において)が形成されていた.剖検例のADMは蛋白栓を伴い,脂肪壊死,炎症細胞浸潤の程度と有意に相関し,...

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Published in膵臓 Vol. 38; no. 1; pp. 51 - 59
Main Author 能登原, 憲司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本膵臓学会 28.02.2023
日本膵臓学会
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.38.51

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Summary:膵のacinar-ductal metaplasia(ADM)の形態学的特徴と免疫染色の有用性を明らかにする目的で,剖検例83例,閉塞性膵炎15例,腫瘤形成性慢性膵炎8例を組織学的に,およびCD56,サイトケラチン19(CK19)の免疫染色にて検討した.剖検例の50例(60%),閉塞性膵炎の全例(100%),慢性膵炎の7例(88%)にADMが認められた.ADMの病変部では正常膵にみられる紫の色調が低下し,腺房腔が膨らんだような微小嚢胞状構造(特に剖検例において)や小型導管様構造(特に閉塞性膵炎において)が形成されていた.剖検例のADMは蛋白栓を伴い,脂肪壊死,炎症細胞浸潤の程度と有意に相関し,腺房細胞障害を反映する所見と考えられた.CD56はADMにおいてびまん性に陽性で,介在部導管や腺房中心細胞も陽性となるCK19よりも特異的であり,ADMのマーカーとしての有用性が示唆された.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.38.51