筋萎縮性側索硬化症におけるインセンティブスパイロメーターを使用した吸気筋トレーニングの有効性の検討

本研究の目的は,筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対する吸気筋トレーニングの呼吸機能維持効果の検証をすることである。対象はALSの診断を受け病名の告知を受けている患者14名。多施設間共同研究形式での非無作為化臨床試験により,通常行うトレーニングのみの群(コントロール群)とそれに加えて吸気筋トレーニングを行う群(トレーニング群)に分け,比較検討した。吸気トレーニングにはインセンティブスパイロメーターを使用し,自覚的運動強度(修正Borg scale)4の「ややきつい」程度の負荷強度で行った。トレーニング期間は8週間とした。評価項目は日本語版改訂ALS機能尺度(ALSFRS-R),呼吸機能(肺活量,努...

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Published in理学療法学 Vol. 35; no. 6; pp. 285 - 291
Main Authors 星, 孝, 島貫, 順子, 伊橋, 光二, 大島, 和子, 中野, 美紀, 吉野, 英, 西堀, 陽輔, 中川, 直子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士学会 20.10.2008
日本理学療法士協会
Japanese Society of Physical Therapy
Subjects
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ISSN0289-3770
2189-602X
DOI10.15063/rigaku.kj00005060691

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Summary:本研究の目的は,筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対する吸気筋トレーニングの呼吸機能維持効果の検証をすることである。対象はALSの診断を受け病名の告知を受けている患者14名。多施設間共同研究形式での非無作為化臨床試験により,通常行うトレーニングのみの群(コントロール群)とそれに加えて吸気筋トレーニングを行う群(トレーニング群)に分け,比較検討した。吸気トレーニングにはインセンティブスパイロメーターを使用し,自覚的運動強度(修正Borg scale)4の「ややきつい」程度の負荷強度で行った。トレーニング期間は8週間とした。評価項目は日本語版改訂ALS機能尺度(ALSFRS-R),呼吸機能(肺活量,努力性肺活量,最大咳嗽流速PCF,呼吸筋力),血液ガス分析値であった。期間の前後でALSFRS-Rはコントロール群で変化無く,トレーニング群で低下した。期間中の経過ではPCFがコントロール群で有意な低下を示したが,トレーニング群では維持された。その他の評価項目は有意な変化はなかった。また,最大吸気筋力変化率がコントロール群で低下し,トレーニング群で上昇する傾向を示した。これらの結果から,吸気筋トレーニングは,吸気筋力や咳嗽力低下の傾向に抑制をかけられる可能性が示唆されたと考える。
ISSN:0289-3770
2189-602X
DOI:10.15063/rigaku.kj00005060691