ミトコンドリア膜電位による細胞内カルシウム緩衝作用の調節と神経細胞死

ミトコンドリアは能動的な活動として神経細胞死を調節している。このため,虚血性神経細胞死に対する脳保護法としてミトコンドリアをターゲットにする研究が進められており,ミトコンドリアの持つ神経細胞保護作用を解明する必要がある。ミトコンドリアは,陰性に荷電しており,細胞内Ca2+の異常上昇を抑える緩衝作用の役割を果たしている。われわれは,培養細胞を用いて短時間の無酸素無糖状態におかれた神経細胞のミトコンドリアの細胞内Ca2+緩衝能を検討した。その結果,無酸素無糖状態を前もって与えられるとミトコンドリアの細胞内Ca2+緩衝能が亢進することが観察された。ミトコンドリアをターゲットにした神経細胞保護の端緒に...

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Published in蘇生 Vol. 28; no. 1; pp. 1 - 6
Main Authors 飯島, 毅彦, 田中, 健介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本蘇生学会 2009
The Japanese Society of Reanimatology
Subjects
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ISSN0288-4348
1884-748X
DOI10.11414/jjreanimatology.28.1

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Summary:ミトコンドリアは能動的な活動として神経細胞死を調節している。このため,虚血性神経細胞死に対する脳保護法としてミトコンドリアをターゲットにする研究が進められており,ミトコンドリアの持つ神経細胞保護作用を解明する必要がある。ミトコンドリアは,陰性に荷電しており,細胞内Ca2+の異常上昇を抑える緩衝作用の役割を果たしている。われわれは,培養細胞を用いて短時間の無酸素無糖状態におかれた神経細胞のミトコンドリアの細胞内Ca2+緩衝能を検討した。その結果,無酸素無糖状態を前もって与えられるとミトコンドリアの細胞内Ca2+緩衝能が亢進することが観察された。ミトコンドリアをターゲットにした神経細胞保護の端緒になるものと期待する。
ISSN:0288-4348
1884-748X
DOI:10.11414/jjreanimatology.28.1