四肢の関節角度-関節トルク特性に関する性差・世代差について

「1. はじめに」ヒトの静的関節トルク(等尺性発揮トルク:関節角度が固定された状態で発揮される関節トルク, 以後関節トルクと呼ぶ. )は力を発揮する際の筋至適長, モーメントアーム長などの因子の影響を受け, 関節角度によりその値が異なる. それらは一般に関節角度-関節トルク特性等の名称で呼ばれているもので, 関節の種類及び運動方向によってユニークな特性を示す. 例えば肘関節の矢状面内屈曲動作では関節角度が90~110°でトルク値が最大となり1), 伸展動作では屈曲位に近づくほどトルク値が大きくなる特性を示す. ただしこれらは前述の筋至適長やモーメントアーム長などの影響による, いわゆる“見た目...

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Published in日本生理人類学会誌 Vol. 15; no. 1; pp. 23 - 32
Main Authors 宮野, 道雄, 久本, 誠一, 樋口, 雅俊, 岡田, 明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生理人類学会 2010
Japan Society of Physiological Anthropology
Subjects
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ISSN1342-3215
2432-0986
DOI10.20718/jjpa.15.1_23

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Summary:「1. はじめに」ヒトの静的関節トルク(等尺性発揮トルク:関節角度が固定された状態で発揮される関節トルク, 以後関節トルクと呼ぶ. )は力を発揮する際の筋至適長, モーメントアーム長などの因子の影響を受け, 関節角度によりその値が異なる. それらは一般に関節角度-関節トルク特性等の名称で呼ばれているもので, 関節の種類及び運動方向によってユニークな特性を示す. 例えば肘関節の矢状面内屈曲動作では関節角度が90~110°でトルク値が最大となり1), 伸展動作では屈曲位に近づくほどトルク値が大きくなる特性を示す. ただしこれらは前述の筋至適長やモーメントアーム長などの影響による, いわゆる“見た目”の関節トルク特性であり, 筋内部の筋収縮現象を直接的に反映したものではない. 筋内部の筋収縮現象に関する先行研究では肘屈曲動作時の屈筋長軸方向の力と関節角度の関係をプロットするとリニアな関係が見られ, 関節角度-関節トルク特性とは異なった様相を示したとしている2)が, これは肘関節屈曲動作に限定した研究結果であり, その他の関節においても, 筋繊維形状の多様性等の影響から, 十分な研究が進んではいない状況にある1).
ISSN:1342-3215
2432-0986
DOI:10.20718/jjpa.15.1_23