歯周病と脳血管疾患の関連 : 歯周病測定指標の特性を考慮したメタアナリシス

2000年代より歯周病と循環器疾患の関連に関する報告が急増しているが,歯周病の評価指標は多様であり,病態評価は用いる指標に左右されるとの報告がなされている.このため,過去の研究における指標が統一されていないことは,研究結果に影響を及ぼしていると考えられる.過去に複数のメタアナリシスが実施されているが,歯周病の評価指標の違いは考慮されていない.そこで,本研究では,代表的な歯周病の測定指標を,a)測定時の炎症を反映する指標(歯肉出血の有無,歯周ポケットの深さの程度)とb)測定時の炎症に左右されない指標(アタッチメントレベル)に分け,歯周病と脳血管疾患の関連について,メタアナリシスにより検討した....

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 64; no. 1; pp. 2 - 9
Main Authors 伊藤, 奏, 相田, 潤, 中安, 美枝子, 松山, 祐輔, 小山, 史穂子, 竹内, 研時, 坪谷, 透, 小坂, 健, 長谷, 晃広
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 30.01.2014
日本口腔衛生学会
Subjects
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.64.1_2

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Summary:2000年代より歯周病と循環器疾患の関連に関する報告が急増しているが,歯周病の評価指標は多様であり,病態評価は用いる指標に左右されるとの報告がなされている.このため,過去の研究における指標が統一されていないことは,研究結果に影響を及ぼしていると考えられる.過去に複数のメタアナリシスが実施されているが,歯周病の評価指標の違いは考慮されていない.そこで,本研究では,代表的な歯周病の測定指標を,a)測定時の炎症を反映する指標(歯肉出血の有無,歯周ポケットの深さの程度)とb)測定時の炎症に左右されない指標(アタッチメントレベル)に分け,歯周病と脳血管疾患の関連について,メタアナリシスにより検討した.  電子データベースによる検索により684本の文献を得,追加的な文献としてこれらの文献のうち2012年に出版されたレビューの引用から,新たに4本の文献を得た.合計688本の文献から,包含基準を満たす11本を解析に使用した.解析の結果,a)では歯周病と脳卒中の間に有意な関連は認められず(オッズ比=1.35,95%信頼区間;0.90-2.02),b)では歯周病患者は脳血管疾患が多いという,有意な正の関連を認めた(オッズ比=1.96,95%信頼区間;1.32-2.90).  本研究から,アタッチメントレベルは,歯肉出血や歯周ポケットの深さの程度に比べ,脳血管疾患との間に強い関連をもつことが明らかになった.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.64.1_2