神経障害性疼痛に対し脊髄刺激療法が有効であった乳がんの腕神経叢転移例

「I はじめに」脊髄刺激療法(spinal cord stimulation:SCS)は硬膜外腔に刺激電極を挿入し, 脊髄の後索に微弱な電流を流すことにより, 痛みの緩和が期待できる治療法である. 今回, 乳がんの腕神経叢転移による神経障害疼痛に対し, SCSで良好な鎮痛を得られた症例を経験したので報告する. なお, 論文報告に際しては, 患者本人の承諾を得ている. 「II 症例」60代, 女性. 身長148cm, 体重48kg. 17年前に右乳がんと診断され, 手術後放射線治療, 化学療法を受け寛解していた. 5年前に右第1, 2指の運動障害, 右第4, 5指のしびれが出現し, 近位側に広が...

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Published inJournal of Japan Society of Pain Clinicians Vol. 31; no. 10; pp. 229 - 230
Main Authors 渡邊, 愛沙, 藤岡, 志帆, 西原, 佑, 藤井, 知美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本ペインクリニック学会 25.10.2024
日本ペインクリニック学会
Japan Society of Pain Clinicians
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ISSN1340-4903
1884-1791
DOI10.11321/jjspc.23-0065

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Summary:「I はじめに」脊髄刺激療法(spinal cord stimulation:SCS)は硬膜外腔に刺激電極を挿入し, 脊髄の後索に微弱な電流を流すことにより, 痛みの緩和が期待できる治療法である. 今回, 乳がんの腕神経叢転移による神経障害疼痛に対し, SCSで良好な鎮痛を得られた症例を経験したので報告する. なお, 論文報告に際しては, 患者本人の承諾を得ている. 「II 症例」60代, 女性. 身長148cm, 体重48kg. 17年前に右乳がんと診断され, 手術後放射線治療, 化学療法を受け寛解していた. 5年前に右第1, 2指の運動障害, 右第4, 5指のしびれが出現し, 近位側に広がった. 肘部管症候群の診断で手術を受けたが改善しなかった. 4年前に右尺骨神経領域のしびれと痛み, 筋萎縮, 筋力低下を自覚し, PET-CTで右腕神経叢への乳がん転移を指摘された. 他院でホルモン療法と化学療法が行われ, 2年後に転移巣は消失した.
ISSN:1340-4903
1884-1791
DOI:10.11321/jjspc.23-0065