歯髄組織とEctodin
「はじめに」EctodinはSclerostinと同様にSOSTドメインを有する分泌型のタンパク質で, 全身の臓器や組織の発生に深く関与していることが最近の知見から明らかにされている. 歯の発生においても咬頭の数や歯数を決定する因子として, その細胞生物学的な作用が注目されている. KassaiらはEctodinがBMPやWntシグナルの阻害因子, すなわちアンタゴニストになることから歯の形態形成に果たすEctodinの役割を調べたところ, 歯胚にみられるエナメル上皮のエナメル結節に強く発現し, BMPとP21を介してエナメル芽細胞の増殖をコントロールして咬頭の数を決定していることを突き止めた...
Saved in:
Published in | The Japanese Journal of Conservative Dentistry Vol. 59; no. 4; pp. 305 - 310 |
---|---|
Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
2016
日本歯科保存学会 The Japanese Society of Conservative Dentistry |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0387-2343 2188-0808 |
DOI | 10.11471/shikahozon.59.305 |
Cover
Summary: | 「はじめに」EctodinはSclerostinと同様にSOSTドメインを有する分泌型のタンパク質で, 全身の臓器や組織の発生に深く関与していることが最近の知見から明らかにされている. 歯の発生においても咬頭の数や歯数を決定する因子として, その細胞生物学的な作用が注目されている. KassaiらはEctodinがBMPやWntシグナルの阻害因子, すなわちアンタゴニストになることから歯の形態形成に果たすEctodinの役割を調べたところ, 歯胚にみられるエナメル上皮のエナメル結節に強く発現し, BMPとP21を介してエナメル芽細胞の増殖をコントロールして咬頭の数を決定していることを突き止めた. そしてこのEctodinが歯髄組織の間葉系細胞に発現し, BMPやWntシグナルを制御して象牙芽細胞の分化や増殖に関与していることが示された. さらにGopalらがEctodinの発現が細胞周囲の環境因子によって変化し, そのメカニズムにEctodinがコードされているDNAのCpGアイランドにメチレーションが起きるエピジェネティクスを報告したことにより, 細胞の癌化やリプログラミングにEctodinが関与することが示され, Ectodinの再生療法への応用がさらに注目されている. |
---|---|
ISSN: | 0387-2343 2188-0808 |
DOI: | 10.11471/shikahozon.59.305 |