当科における急性期深部静脈血栓症に対する治療方針の変遷

要旨:【目的】急性期深部静脈血栓症(DVT)に対する治療について検討し,現時点における治療法の妥当性について検証した.【方法】対象は,2009 年1 月から2015 年10 月の間に当科で血栓の進展範囲が腸骨大腿静脈領域に及ぶ急性期DVT に対し外科的血栓除去術および経カテーテル的血栓溶解療法(CDT)を施行した20 例.症例の内訳は,前期群として外科的血栓除去術および血管内治療(EVT)を同時に施行した13 例,中期群として外科的血栓除去およびEVT とそれに続きCDT を施行した2 例,後期群としてCDT を先行した後に外科的血栓除去術を施行した5 例であり,それぞれの群別に治療成績を検討...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJapanese Journal of Vascular Surgery Vol. 25; pp. 89 - 96
Main Authors 工藤, 敏文, 中島, 里枝子, 宮井, 美恵子, 井上, 芳徳, 豊福, 崇浩, 猪狩, 公宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 2016
日本血管外科学会
JAPANESE SOCIETY FOR VASCULAR SURGERY
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.15-00102

Cover

More Information
Summary:要旨:【目的】急性期深部静脈血栓症(DVT)に対する治療について検討し,現時点における治療法の妥当性について検証した.【方法】対象は,2009 年1 月から2015 年10 月の間に当科で血栓の進展範囲が腸骨大腿静脈領域に及ぶ急性期DVT に対し外科的血栓除去術および経カテーテル的血栓溶解療法(CDT)を施行した20 例.症例の内訳は,前期群として外科的血栓除去術および血管内治療(EVT)を同時に施行した13 例,中期群として外科的血栓除去およびEVT とそれに続きCDT を施行した2 例,後期群としてCDT を先行した後に外科的血栓除去術を施行した5 例であり,それぞれの群別に治療成績を検討した.【結果】前期群13 例中,良好な静脈開存が得られた症例は9 例だった.中期群・後期群では術後早期の静脈開存率は100%であり,遠隔期に1 例(14%)で静脈閉塞をきたしたが,臨床症状の悪化を認めていない.【結論】当科で施行している外科的血栓除去術とCDT を組み合わせた急性期DVT の治療法は安全かつ満足のいく治療成績である.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.15-00102