横行結腸切除術後の腹部大動脈瘤に対してステントグラフト内挿術を行い,術後腸管虚血をきたした1例

症例は67歳男性.65歳時に横行結腸癌および腹部大動脈瘤を指摘され,動脈瘤径が小さいことから横行結腸切除術を先行した.以後,腹部大動脈瘤に関しては経過観察となっていたが,横行結腸切除術後1年経過した時点で急速に腹部大動脈瘤が拡大してきたため,手術適応とされた.開腹後であるためステントグラフト内挿術を選択して行ったが,術後1病日目に粘血便が認められたため,緊急内視鏡検査を施行した.虚血性大腸炎と診断し,直ちに,絶食や補液による保存的加療を行い,重篤化することなく軽快退院となった.ステントグラフト内挿術は,開腹による人工血管置換術よりも比較的虚血性腸炎の合併が少ないとされているが,腸管切除術後およ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJapanese Journal of Vascular Surgery Vol. 26; no. 3; pp. 185 - 188
Main Authors 岩堀, 晃也, 進藤, 俊哉, 内山, 裕智, 井上, 秀範, 赤坂, 純逸, 本橋, 慎也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 2017
日本血管外科学会
JAPANESE SOCIETY FOR VASCULAR SURGERY
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.17-00009

Cover

More Information
Summary:症例は67歳男性.65歳時に横行結腸癌および腹部大動脈瘤を指摘され,動脈瘤径が小さいことから横行結腸切除術を先行した.以後,腹部大動脈瘤に関しては経過観察となっていたが,横行結腸切除術後1年経過した時点で急速に腹部大動脈瘤が拡大してきたため,手術適応とされた.開腹後であるためステントグラフト内挿術を選択して行ったが,術後1病日目に粘血便が認められたため,緊急内視鏡検査を施行した.虚血性大腸炎と診断し,直ちに,絶食や補液による保存的加療を行い,重篤化することなく軽快退院となった.ステントグラフト内挿術は,開腹による人工血管置換術よりも比較的虚血性腸炎の合併が少ないとされているが,腸管切除術後および広範囲リンパ節廓清後の症例では,術後合併症として発生する可能性があるため考慮して治療する必要があると考えられた.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.17-00009