複数回の検査で腎血管性高血圧症と診断しえた2症例
腎血管性高血圧症は全高血圧患者の約1%を占めるとされ, その疑いが残る場合には複数のモダリティを用いてその鑑別を行うことが大切であり, また, 高血圧症の好発年齢層である中高年齢者では加齢による粥状動脈硬化の進展に伴い発症することがあるので, より注意を要する. 今回, われわれは内分泌学的検査などを繰り返し評価することにより, 腎血管性高血圧症と診断しえた2症例を経験したので報告する. 1症例目は78歳の男性. 血漿レニン活性値は基準値内であったが, その後, 低カリウム血症が出現したため, 再検したところ, 高レニン血症 (血漿レニン活性10.1ng/mL/hr) を呈していた. 腹部造影...
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Published in | Shinzo Vol. 48; no. 10; pp. 1176 - 1184 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
2016
日本心臓財団・日本循環器学会 Japan Heart Foundation |
Subjects | |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.48.1176 |
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Summary: | 腎血管性高血圧症は全高血圧患者の約1%を占めるとされ, その疑いが残る場合には複数のモダリティを用いてその鑑別を行うことが大切であり, また, 高血圧症の好発年齢層である中高年齢者では加齢による粥状動脈硬化の進展に伴い発症することがあるので, より注意を要する. 今回, われわれは内分泌学的検査などを繰り返し評価することにより, 腎血管性高血圧症と診断しえた2症例を経験したので報告する. 1症例目は78歳の男性. 血漿レニン活性値は基準値内であったが, その後, 低カリウム血症が出現したため, 再検したところ, 高レニン血症 (血漿レニン活性10.1ng/mL/hr) を呈していた. 腹部造影CT検査では, 左腎動脈起始部に高度石灰化を伴う高度狭窄を認めた. 加齢による粥状動脈硬化の進展により, 腎血管性高血圧症が発症したものと考えた. 2症例目は38歳の女性. 27歳の頃から高血圧を指摘されていたが, 腎血管性高血圧症の診断には至らなかった. 37歳, 妊娠・出産時に血圧調節が困難となった. 低カリウム・高レニン血症 (血漿レニン活性6.4ng/mL/hr) から腎血管性高血圧症を疑い, 腎動脈超音波検査を施行したが, 腎動脈狭窄の診断には至らなかった. 約1年後, 腹部造影CTを施行した. 右腎に分布している動脈は, 3本同定でき, うち1本の中央に狭窄を認め, 腎血管高血圧症と診断した. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.48.1176 |