漏斗胸患者の胸部症状 ─冠攣縮性狭心症として加療を受けていた2症例を含めて

漏斗胸の患者が胸痛などの胸部症状を高率に訴えることは十分に認知されていない.漏斗胸患者の自覚症状について検討し,冠攣縮性狭心症として加療されていた2例について詳報する. 手術を施行した漏斗胸患者273例(4~56,平均15.5±9.8歳)において手術前に身体的な症状を訴えたのは113例(41.4%)であった.15歳以下の小児155例では44例(28.4%)が身体症状を呈したが,16歳以上の118例では69例(58.5%)とその割合は増加した.16歳以上の漏斗胸患者では28.5%が胸痛・胸部圧迫感,26.3%が呼吸困難,11.9%が動悸を訴え胸部症状が増加した.胸痛の性質,強さ,誘因,出現時刻,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inShinzo Vol. 49; no. 12; pp. 1219 - 1225
Main Authors 飯田, 浩司, 可児, 久典, 小谷, 典子, 下郷, 卓史, 児島, 昭徳, 河住, 亮, 深井, 隆太, 大橋, 壮樹, 只腰, 雅夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.12.2017
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.49.1219

Cover

More Information
Summary:漏斗胸の患者が胸痛などの胸部症状を高率に訴えることは十分に認知されていない.漏斗胸患者の自覚症状について検討し,冠攣縮性狭心症として加療されていた2例について詳報する. 手術を施行した漏斗胸患者273例(4~56,平均15.5±9.8歳)において手術前に身体的な症状を訴えたのは113例(41.4%)であった.15歳以下の小児155例では44例(28.4%)が身体症状を呈したが,16歳以上の118例では69例(58.5%)とその割合は増加した.16歳以上の漏斗胸患者では28.5%が胸痛・胸部圧迫感,26.3%が呼吸困難,11.9%が動悸を訴え胸部症状が増加した.胸痛の性質,強さ,誘因,出現時刻,持続時間などは症例によってさまざまであり,同一症例でも再現性に乏しかった.全例に漏斗胸手術である胸肋挙上術変法を施行し症状は軽快,消失した. 症例1:56歳女性.出生時から前胸部中央下部に陥凹を認めた.約20年前に胸痛が出現し冠攣縮性狭心症と診断され内服していたが,胸痛は続いた.呼吸困難が増悪したために来院した.胸肋挙上術を施行し症状は消失した. 症例2:31歳女性.前胸部右側に高度の陥凹を認めた.約2年前から胸痛が増悪し冠攣縮性狭心症と診断を受け内服を開始したが胸痛は続き呼吸困難も出現した.胸肋挙上術を施行し症状は消失した. 成人の漏斗胸患者は高率に胸部症状を訴え,冠攣縮性狭心症や他の心疾患との鑑別に注意を要することがある.これらの身体症状は胸肋挙上術によって軽快,消失した
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.49.1219