がん性痛に対するくも膜下フェノールブロックの鎮痛効果についての検討

【目的】薬物療法に難渋する痛みを有するがん患者23 名に対し,くも膜下フェノールブロックを行い,その適応や鎮痛効果について検討した.【方法】片側胸部または会陰部に痛みのある患者を対象とし,15 %フェノールグリセリンを用いてくも膜下フェノールブロックを施行した.治療効果の指標として,ブロック前,ブロック後2 週間,4 週間,3 カ月でのvisual analogue scale(VAS)値ならびにオピオイド使用量の変化で評価をした.【結果】ブロック施行後,有意なVAS の低下が認められた(P<0.05).ブロック前(胸部13 例:65.6±12.2,会陰部10 例:74.4±10.4)に比較し...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 20; no. 4; pp. 461 - 467
Main Authors 神原, 政仁, 恒遠, 剛示, 棚田, 大輔, 村川, 和重, 森山, 萬秀, 福永, 智栄, 池田, 和世, 中野, 範
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本ペインクリニック学会 2013
日本ペインクリニック学会
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ISSN1340-4903
1884-1791
DOI10.11321/jjspc.12-0034

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Summary:【目的】薬物療法に難渋する痛みを有するがん患者23 名に対し,くも膜下フェノールブロックを行い,その適応や鎮痛効果について検討した.【方法】片側胸部または会陰部に痛みのある患者を対象とし,15 %フェノールグリセリンを用いてくも膜下フェノールブロックを施行した.治療効果の指標として,ブロック前,ブロック後2 週間,4 週間,3 カ月でのvisual analogue scale(VAS)値ならびにオピオイド使用量の変化で評価をした.【結果】ブロック施行後,有意なVAS の低下が認められた(P<0.05).ブロック前(胸部13 例:65.6±12.2,会陰部10 例:74.4±10.4)に比較し,2 週間後(胸部:前21.5±19.1,会陰部:33.0±25.8)にVAS 改善は最大となった.しかし,VAS 値はブロック後の時間経過に伴って経時的に増加したものの,ブロック施行前に比べ有意に低下したままであった.オピオイド使用量は,ブロック前後で有意差はなかった.また胸部と会陰部での部位による鎮痛効果に差はなかった.【結論】くも膜下フェノールブロックは,薬物に抵抗する限局した痛みに対し単回の処置で持続的な効果が期待できる治療法である.
ISSN:1340-4903
1884-1791
DOI:10.11321/jjspc.12-0034