低線量放射線の生体影響

「1. はじめに」 今まさに"放射線を正しく理解し, 正しく怖がる"というフレーズが日本国民に求められている. というのは, 2011年3月11日に起きた東日本大震災により, 福島原子力発電所も大きな被害を受け, 原子炉の冷却装置が停止, その後復旧に向けての作業が行われつつあるものの, 今日なおわが国のみならず世界各国にも恐怖心を与えている現状があるからである, 原発事故発生に伴い, 核反応により生成された放射性ヨード(131I)やセシウム(134Cs, 137Cs)が東北・関東地方に飛散, その後の降雨により地上に落下, 露地野菜や水道水等に混入, 日常生活がパニックに...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 134; no. 2; pp. 155 - 161
Main Author 小島, 周二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.02.2014
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.13-00227-4

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Summary:「1. はじめに」 今まさに"放射線を正しく理解し, 正しく怖がる"というフレーズが日本国民に求められている. というのは, 2011年3月11日に起きた東日本大震災により, 福島原子力発電所も大きな被害を受け, 原子炉の冷却装置が停止, その後復旧に向けての作業が行われつつあるものの, 今日なおわが国のみならず世界各国にも恐怖心を与えている現状があるからである, 原発事故発生に伴い, 核反応により生成された放射性ヨード(131I)やセシウム(134Cs, 137Cs)が東北・関東地方に飛散, その後の降雨により地上に落下, 露地野菜や水道水等に混入, 日常生活がパニックに陥る事態にまでに至った. 一般人の多くは, 「"放射線は得体の知れない怖いもの"であり, これにあたれば即死する, また死に至らない場合でも数年後にはがんを患い, 死んでしまう」と考えてしまうようである. 事故後2年を経過した現在, 陸地での放射線量は低下したにもかかわらず, 放射性セシウムによる野菜類の汚染や風評に怯えている人もいる.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.13-00227-4