マルファン症候群に代表される遺伝性大動脈疾患の診断と治療

私たちが日常遭遇する大動脈瘤は多くは動脈硬化を元に発症します. 今日のテーマはなにやら難しそうなタイトルですが, 先天的な結合織の異常で生じる大動脈瘤あるいは大動脈解離もあり得るという話です. その代表疾患がマルファン症候群です. 「マルファン症候群の特徴」マルファン症候群は耳慣れない疾患名かもしれませんが, 全身の結合織の脆弱性を特徴とする遺伝性疾患です. 約5000人に1人の発症率と考えられています. フランスの小児科医であるマルファン先生が1896年にこの疾患を症例報告したことからこの名前があります. 具体的な症状としましては骨格系では背が高く, 手足と指が長く, 脊椎の側弯症と漏斗胸,...

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Published inShinzo Vol. 48; no. 6; pp. 685 - 689
Main Author 平田, 恭信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2016
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.48.685

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Summary:私たちが日常遭遇する大動脈瘤は多くは動脈硬化を元に発症します. 今日のテーマはなにやら難しそうなタイトルですが, 先天的な結合織の異常で生じる大動脈瘤あるいは大動脈解離もあり得るという話です. その代表疾患がマルファン症候群です. 「マルファン症候群の特徴」マルファン症候群は耳慣れない疾患名かもしれませんが, 全身の結合織の脆弱性を特徴とする遺伝性疾患です. 約5000人に1人の発症率と考えられています. フランスの小児科医であるマルファン先生が1896年にこの疾患を症例報告したことからこの名前があります. 具体的な症状としましては骨格系では背が高く, 手足と指が長く, 脊椎の側弯症と漏斗胸, 鳩胸などがあり, 眼症状では水晶体亜脱臼に代表されます. 皮膚症状では皮膚線条や鼠径ヘルニアなど, 肺症状では気胸などがあり, 腰椎レベルに生じる硬膜拡張はかなり本症に特異的です.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.48.685