ペースメーカリード前尖穿通に伴う重症三尖弁逆流に対する1手術例

経静脈ペースメーカリードの前尖穿通により, 遠隔期に三尖弁の動きが障害され, 重症三尖弁逆流 (tricuspid regurgitation ; TR) をきたして手術した1例を経験したので報告する. 症例は, 83歳, 女性. 10年前に洞不全症候群にて経静脈的ペースメーカ植え込み術が施行された. 1年前より顔面浮腫と労作時呼吸困難が出現した. 経食道3D心エコー検査で, 三尖弁前尖を穿通する経静脈リードが弁尖の可動性を著明に制限しているために重症TRを生じていると診断した. 手術所見では, リードが前尖中央の弁腹を貫通し, 前乳頭筋と一体となって棍棒状に肥厚した線維束となり, 前尖中央に...

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Published inShinzo Vol. 46; no. 3; pp. 378 - 383
Main Authors 黒部, 裕嗣, 菅野, 幹雄, 北市, 隆, 佐田, 政隆, 中山, 泰介, 藤本, 鋭貴, 神原, 保, 藤田, 博, 山田, 博胤, 木下, 肇, 曽我部, 仁史, 北川, 哲也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2014
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.46.378

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Summary:経静脈ペースメーカリードの前尖穿通により, 遠隔期に三尖弁の動きが障害され, 重症三尖弁逆流 (tricuspid regurgitation ; TR) をきたして手術した1例を経験したので報告する. 症例は, 83歳, 女性. 10年前に洞不全症候群にて経静脈的ペースメーカ植え込み術が施行された. 1年前より顔面浮腫と労作時呼吸困難が出現した. 経食道3D心エコー検査で, 三尖弁前尖を穿通する経静脈リードが弁尖の可動性を著明に制限しているために重症TRを生じていると診断した. 手術所見では, リードが前尖中央の弁腹を貫通し, 前乳頭筋と一体となって棍棒状に肥厚した線維束となり, 前尖中央に直接癒着し著明に弁機能を障害していた. 穿通したリードと傷んだ弁尖組織を可及的に切除し, 前尖を自己心膜で補填, 拡大し, DeVega法による弁輪縫縮術を施行し, ペースメーカを心筋リードに切り替えた. 術後しばらくは自覚症状の改善を認めたが, 1年後に再度TRの増悪をきたし三尖弁の生体弁置換術を施行した. 本例のように前尖を穿通する症例は極めて稀だが, ペースメーカ植え込み術時あるいは留置後早期に3D心エコーで経静脈リードの走行と三尖弁の形態と機能についてルーチンに精査しておくことが望ましい.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.46.378