肺癌化学療法におけるデキサメタゾン8 mgと16 mgの急性及び遅延性悪心・嘔吐に対する効果の比較検討

癌化学療法による多くの有害反応のなかでも悪心, 嘔吐は, 最も不快感の強い症状の1つである. そのため, 悪心, 嘔吐に対する効果的な対応策を講じることは, 患者のQOL向上のみならず, 癌化学療法の効果を最大限に引き出すためにも大変重要である. 癌化学療法剤の投与後24時間以内に発現する急性悪心, 嘔吐に対しては, 5-HT3受容体拮抗薬とステロイドの併用による高い効果が報告されている. しかし, その一方で化学療法剤投与後24時間以上経過してから発生する遅延性悪心, 嘔吐は, いまだ効果の高い対応策の確立がなされていない. 現在, 臨床では, ステロイドを中心とした方法が主に行われているが...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 126; no. 1; pp. 61 - 66
Main Authors 早川, 達, 佐藤, 真由美, 廣畑, 多恵, 戸津, 佐和子, 牧野, あずさ, 和田, 佳子, 佐藤, 秀紀, 猪爪, 信夫, 藤田, 昭久, 関根, 球一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.01.2006
日本薬学会
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Summary:癌化学療法による多くの有害反応のなかでも悪心, 嘔吐は, 最も不快感の強い症状の1つである. そのため, 悪心, 嘔吐に対する効果的な対応策を講じることは, 患者のQOL向上のみならず, 癌化学療法の効果を最大限に引き出すためにも大変重要である. 癌化学療法剤の投与後24時間以内に発現する急性悪心, 嘔吐に対しては, 5-HT3受容体拮抗薬とステロイドの併用による高い効果が報告されている. しかし, その一方で化学療法剤投与後24時間以上経過してから発生する遅延性悪心, 嘔吐は, いまだ効果の高い対応策の確立がなされていない. 現在, 臨床では, ステロイドを中心とした方法が主に行われているが, その効果はけっして十分とは言えない. その理由の1つとして, 効果的なステロイド投与量の検討がほとんどなされていないことが挙げられる. 米国臨床腫瘍学会American Society of Clinical Oncology(ASCO)のガイドラインでは, 急性悪心, 嘔吐(day1)に対しDEX 20mgの投与を推奨している. 1)しかし, 遅延性悪心, 嘔吐に対するこのような具体的な投与量は示されていない.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.126.61