ロボット支援下仙骨膣固定術 (RASC)

2005年に米国FDAがダビンチサージカルシステムの婦人科領域での使用承認により急速にロボット手術件数が増加している. 本邦においても婦人科領域でのロボット支援下手術の保険収載が行われており, 2020年4月から骨盤臓器脱における腹腔鏡下仙骨膣断端固定術に対しても保険収載がおこなわれた. 仙骨膣固定術は高度の骨盤臓器脱にも対応できる術式であり, 開腹術からより低侵襲な腹腔鏡手術, ロボット手術へと術法は変化している. 従来の腹腔鏡下仙骨膣固定術ではメッシュの縫合や岬角へのメッシュ固定などで複数回の縫合手技が必要とされており腹腔鏡初心者にとっては難易度が高い手術と思われていた. ロボット手術のメ...

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Published inJapanese Journal of Endourology Vol. 34; no. 1; pp. 90 - 95
Main Authors 深谷, 孝介, 高原, 健, 全並, 賢二, 市野, 学, 佐々木, ひと美, 住友, 誠, 白木, 良一, 竹中, 政史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本泌尿器内視鏡学会 2021
Japanese Society of Endourology
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ISSN2186-1889
2187-4700
DOI10.11302/jsejje.34.90

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Summary:2005年に米国FDAがダビンチサージカルシステムの婦人科領域での使用承認により急速にロボット手術件数が増加している. 本邦においても婦人科領域でのロボット支援下手術の保険収載が行われており, 2020年4月から骨盤臓器脱における腹腔鏡下仙骨膣断端固定術に対しても保険収載がおこなわれた. 仙骨膣固定術は高度の骨盤臓器脱にも対応できる術式であり, 開腹術からより低侵襲な腹腔鏡手術, ロボット手術へと術法は変化している. 従来の腹腔鏡下仙骨膣固定術ではメッシュの縫合や岬角へのメッシュ固定などで複数回の縫合手技が必要とされており腹腔鏡初心者にとっては難易度が高い手術と思われていた. ロボット手術のメリットとしては3Dカメラによるリアルな立体画像とズーム機能, 広い関節可動域や4本のアーム, 多彩な機能の鉗子などに加えスピード調整や手ぶれ補正などの操作性の良さから縫合や結紮などのラーニングカーブが従来の腹腔鏡手術と比較して短く, デュアルコンソールでの直接指導も可能であるため教育面でも優れている. ロボット支援下仙骨膣固定術と従来の腹腔鏡手術との比較では, 自覚的他覚的な手術結果には有意差はないものの, 出血量や開腹術への移行率の低さではロボット手術での有用性が高いとの報告がある一方, 手術時間や手術に関わる費用では従来の腹腔鏡手術が短時間で安価であると報告されている. 保険収載されたことによりロボットを保有している施設での手術件数の増加が見込まれる. 今後ロボット手術においては, 良好な結果を保ちつつ手術時間の短縮や教育での活用が期待される.
ISSN:2186-1889
2187-4700
DOI:10.11302/jsejje.34.90