Electroneuronographyによる末梢性顔面神経麻痺の予後判定:口輪筋と眼輪筋での検討

末梢性顔面神経麻痺では,口輪筋のelectroneuronography(以下,ENoG)が予後診断に有用とされている.しかし,眼輪筋のENoGと予後との関係についての研究は少ない.健側のENoGの振幅に対する患側のENoGの振幅をパーセントにしたものをENoG値として,初診時から口輪筋と眼輪筋のENoGを測定し,ENoG値で発症早期に予後診断が可能かどうかを検討した.末梢性顔面神経麻痺25症例を対象に,初診時より2週間はできるかぎり毎日,その後は治療日ごとに,治癒するまでENoGを測定した.ENoG値は,口輪筋,眼輪筋ともに麻痺発症後から低下し,平均12日で最低値(min-ENoG値)となっ...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 16; no. 4; pp. 469 - 473
Main Authors 武冨, 麻恵, 橋本, 誠, 岡本, 健一郎, 西木戸, 修, 増田, 豊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本ペインクリニック学会 2009
日本ペインクリニック学会
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ISSN1340-4903
1884-1791
DOI10.11321/jjspc.08-0031

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Summary:末梢性顔面神経麻痺では,口輪筋のelectroneuronography(以下,ENoG)が予後診断に有用とされている.しかし,眼輪筋のENoGと予後との関係についての研究は少ない.健側のENoGの振幅に対する患側のENoGの振幅をパーセントにしたものをENoG値として,初診時から口輪筋と眼輪筋のENoGを測定し,ENoG値で発症早期に予後診断が可能かどうかを検討した.末梢性顔面神経麻痺25症例を対象に,初診時より2週間はできるかぎり毎日,その後は治療日ごとに,治癒するまでENoGを測定した.ENoG値は,口輪筋,眼輪筋ともに麻痺発症後から低下し,平均12日で最低値(min-ENoG値)となった.両筋のmin-ENoG 値と麻痺が治癒するまでの日数とは,有意の負の相関を示していた(口輪筋, r=-0.67,P=0.0003;眼輪筋,r=-0.50,P=0.009).ENoGの振幅は眼輪筋よりも口輪筋が大きく,min-ENoG値の判定は眼輪筋より,口輪筋で容易であった.末梢性顔面神経麻痺の予後判定には,眼輪筋よりも,口輪筋でのENoG値で評価することが有用であった.
ISSN:1340-4903
1884-1791
DOI:10.11321/jjspc.08-0031