軽度認知障害を有する高齢者の転倒の実態

「緒言」要介護状態の予防のためには脳血管疾患と老年症候群の予防が重要である. 老年症候群には運動機能と認知機能の低下を背景とした症候が含まれ, 転倒による骨折は重大な症候のひとつといえる. 今後数十年間の間に世界の平均年齢は上昇すると予想され, 経済協力開発機構加盟国の年齢の中央値は, 2010年の37.9歳から2030年には42.8歳に上昇する. 日本は最も年齢の中央値が高く, 2010年が45歳で2030年には52歳まで上昇すると予想されている. 高齢者数の増加とともに進む生産人口の減少は, 抜本的な社会保障の見直しを余儀なくし, 特に高齢者に対する社会保障制度改革が急がれている. 人口の...

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Published in日本基礎理学療法学雑誌 Vol. 19; no. 2; pp. 48 - 54
Main Authors 島田, 裕之, 牧迫, 飛雄馬, 土井, 剛彦, 堤本, 広大, 中窪, 翔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本基礎理学療法学会 03.08.2016
Japanese Association of Physical Therapy Fundamentals
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Summary:「緒言」要介護状態の予防のためには脳血管疾患と老年症候群の予防が重要である. 老年症候群には運動機能と認知機能の低下を背景とした症候が含まれ, 転倒による骨折は重大な症候のひとつといえる. 今後数十年間の間に世界の平均年齢は上昇すると予想され, 経済協力開発機構加盟国の年齢の中央値は, 2010年の37.9歳から2030年には42.8歳に上昇する. 日本は最も年齢の中央値が高く, 2010年が45歳で2030年には52歳まで上昇すると予想されている. 高齢者数の増加とともに進む生産人口の減少は, 抜本的な社会保障の見直しを余儀なくし, 特に高齢者に対する社会保障制度改革が急がれている. 人口の高齢化は疾病構造の変化を招き, 加齢とともに顕在化する老年症候群の予防と改善が, 適正な社会保障費を維持するために大きな課題となるだろう. とりわけ転倒は, 加齢とともに転倒率が上昇し, 地域在住高齢者の15~20%程度が少なくとも年間1回は転倒を経験しており, 転倒・骨折が要介護状態の主要な原因となっている.
ISSN:2186-0742
2434-0731
DOI:10.24780/jptf.19.2_48