日本における外国人患者の冠動脈インターベンションにおけるプラスグレル

【背景】プラスグレルは海外では1日10 mg(負荷用量60 mg)で使われている.しかし,日本ではプラスグレルは1日3.75 mg(負荷用量20 mg)で認可されている.日本の保険診療で外国人にプラスグレルを使用する場合,減量された日本人の用量で使用することになる.しかし,外国人患者への日本人用量のプラスグレルの有用性はこれまで明らかになっていない.【目的】外国人患者に対する日本人用量のプラスグレルの有用性を確認する.【方法】2010年から2018年までに,当院で冠動脈インターベンション(PCI)が行われた欧米人の患者を対象とした.日本人の用量(負荷用量20 mg,維持用量3.75 mg)のプ...

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Published in日本冠疾患学会誌 Vol. 3; pp. 1 - 5
Main Authors 比嘉, 冨貴, 上地, 洋一, 眞榮平, 直也, 親川, 拓也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本冠疾患学会 2021
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ISSN2434-2157
DOI10.32182/njcoron.20-00021

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Summary:【背景】プラスグレルは海外では1日10 mg(負荷用量60 mg)で使われている.しかし,日本ではプラスグレルは1日3.75 mg(負荷用量20 mg)で認可されている.日本の保険診療で外国人にプラスグレルを使用する場合,減量された日本人の用量で使用することになる.しかし,外国人患者への日本人用量のプラスグレルの有用性はこれまで明らかになっていない.【目的】外国人患者に対する日本人用量のプラスグレルの有用性を確認する.【方法】2010年から2018年までに,当院で冠動脈インターベンション(PCI)が行われた欧米人の患者を対象とした.日本人の用量(負荷用量20 mg,維持用量3.75 mg)のプラスグレルで治療された患者と,クロピドグレル(負荷用量300 mg,維持用量75 mg)で治療された患者を比較し,主要心血管イベント(MACE)と出血の出現率を後ろ向きに確認した.【結果】対象患者は111人であり,プラスグレル群は26人,クロピドグレル群は85人であった.MACEの発症はプラスグレル群で5人(19.2%),クロピドグレル群で4人(4.7%)であり,プラスグレル群で多かった(リスク比:4.1,95%信頼区間1.18-14.1,p=0.03).出血の出現率は両群で差を認めなかった.【結語】外国人のPCIにおいて,日本で認可された用量のプラスグレル群は,クロピドグレル群と比較しMACEの出現が多かった.本研究は少数での検討であり,また探索的研究であるという限界があるが,日本での外国人のPCIは,プラスグレルよりクロピドグレルが有用かもしれない.
ISSN:2434-2157
DOI:10.32182/njcoron.20-00021