小児血液・悪性固形腫瘍患者に対する鎖骨上アプローチを用いた腕頭静脈穿刺による中心静脈カテーテル挿入術の検討

「要旨」【目的】中心静脈カテーテル(CVC)は小児血液・悪性固形腫瘍患者の治療において使用される. 近年, 安全なCVC挿入法としてin-plane法を用いた超音波(US)ガイド下鎖骨上アプローチによる腕頭静脈穿刺CVC挿入術が報告されている. 【方法】小児血液・悪性固形腫瘍患者を対象にout-of-plane法を用いて内頸静脈にトンネル型CVCを挿入した群(IJV群)とin-plane法を用いて腕頭静脈に挿入した群(BCV群)について患者背景, 手術成績, 合併症を後方視的に比較検討した. 【結果】34名の患者に対し, 計40回(IJV群:n=15, BCV群:n=25)のトンネル型CVCが...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 60; no. 2; pp. 158 - 165
Main Authors 中目和彦, 桝屋隆太, 永澤俊, 中川緑, 山田愛, 木下真理子, 上村幸代, 盛武浩, 家入里志, 七島篤志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本小児外科学会 20.04.2024
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Summary:「要旨」【目的】中心静脈カテーテル(CVC)は小児血液・悪性固形腫瘍患者の治療において使用される. 近年, 安全なCVC挿入法としてin-plane法を用いた超音波(US)ガイド下鎖骨上アプローチによる腕頭静脈穿刺CVC挿入術が報告されている. 【方法】小児血液・悪性固形腫瘍患者を対象にout-of-plane法を用いて内頸静脈にトンネル型CVCを挿入した群(IJV群)とin-plane法を用いて腕頭静脈に挿入した群(BCV群)について患者背景, 手術成績, 合併症を後方視的に比較検討した. 【結果】34名の患者に対し, 計40回(IJV群:n=15, BCV群:n=25)のトンネル型CVCが挿入された. 患者背景, 術前血液凝固検査値は両群間に有意差はなかった. 手術時間中央値(IQR)はIJV群:30分(27~33), BCV群:25.8分(22~27)であり, BCV群で有意に手術時間が短縮された(p=0.0026). 術中合併症はIJV群で1例(6.7%)認め, BCV群では認めなかった. CVC維持管理中の合併症はIJV群:10例(66.7%), BCV群:17例(68%)であり, 両群間で有意差は認めなかった. カテーテル関連血流感染はIJV群:10例(66.7%), BCV群:12例(52%)に認め, 有意差はみられなかった. CVC留置期間中央値(IQR)はIJV群:273日(172~363.5), BCV群:152日(101~280)であり有意差を認めなかった. 【結論】リアルタイム超音波ガイド下鎖骨上アプローチによる腕頭静脈穿刺術は小児血液・悪性固形患者に対しても安全な手技と考えられた.
ISSN:0288-609X
DOI:10.11164/jjsps.60.2_158