良導絡研究の現状と今後の課題
良導絡は, その内容がかなり複雑で, かつ高度な生理学的内容を含んでいるが, その基調はなにか, と云うことになれば, やはり反応良導点の電気伝導性と病態とのかかわりあいが, その中心課題であろうと思う. この点を理論的に明確にしてゆくことが, 良導絡を正確に認識してゆく, 基本的なことがらであろうし, また, 良導絡医学の正しい発展を支えてゆく秘訣であろうと思う. 云うまでもなく, 学問の発展は, それぞれの専門的立場にある研究者が, いろいろな角度から, ある課題に就いての基調となる部分を, 冷静な視点から厳選し, これに, きびしい批判検討を加えて, 課題の全体像が, 次第に明らかにされ...
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Published in | 日本鍼灸良導絡医学会誌 Vol. 23; no. 2; pp. 5 - 11 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本良導絡自律神経学会
1995
日本良導絡神経学会 |
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ISSN | 0286-1631 1884-9253 |
DOI | 10.17119/ryodoraku1971.23.2_5 |
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Summary: | 良導絡は, その内容がかなり複雑で, かつ高度な生理学的内容を含んでいるが, その基調はなにか, と云うことになれば, やはり反応良導点の電気伝導性と病態とのかかわりあいが, その中心課題であろうと思う. この点を理論的に明確にしてゆくことが, 良導絡を正確に認識してゆく, 基本的なことがらであろうし, また, 良導絡医学の正しい発展を支えてゆく秘訣であろうと思う. 云うまでもなく, 学問の発展は, それぞれの専門的立場にある研究者が, いろいろな角度から, ある課題に就いての基調となる部分を, 冷静な視点から厳選し, これに, きびしい批判検討を加えて, 課題の全体像が, 次第に明らかにされるのであって, このような研究の積み上げの歴史が, 初めて学問の名に値する客観性と信頼性を保証してゆくわけであって, そのような意味では, 研究は“修正の歴史”であると云っても過言ではない. 良導絡の研究の歴史は比較的新しいものではあるけれども, このような歴史の積み重ねを経て, 現在に至っているわけである. しかも, そのようにして築き上げられた学問の成果は, 正確で, 広範な応用力を持ち, 医学においては人間生命の確実な保証につながるものでなければならない. 良導絡は, 中谷博士らの創設以来, その学問的内容は, 独り臨床医学の領域ばかりでなく, 広く生理学・物理学・化学・心理学と云った巾広い領域にまたがり, その内容もかなりの広範囲の分野に及んでいる. 反応良導点の電気的特性を中心として展開される良導絡の分野が, 広範な, 実際的内容を含むことは当然のことであって, 反応良導点組織の電気伝導性という, 1つをとりあげてみても, その内容は, 自律神経の電気生理学, 細胞膜のイオン透過性の諸問題, 電気伝導の本質的機構にかかわる組織の粘弾性力学や, 流体力学に関する諸問題などを回避して通るわけには行かないのである. このように, 良導絡は, 反応良導点の電気伝導性と云う, 従来の医学では殆ど取り扱ったことのない, あたらしい学問内容を含んでいるために, そう簡単に片付けられるような単純な内容ではないのである. 良導絡が, このような広範な科学的内容を持つことのゆえに, それと生命とのかかわりと云う点において, 私は良導絡医学があたらしい第3の医学としての内容を充分に備えており, したがって従来の研究方法とは異なる方法論をもつあたらしい医学の領域を構成すべきものと私は思っている. 良導絡は, また, いろいろな意味で中国伝統医学や, Asiaの東洋医学とも深いかかわりを持っているように思われる. これらの諸点を考慮すれば, 良導絡医学は, 1つは東洋的全体医学の性格を持ちながら, 物理学やあたらしい生物学の, はるかに進んだ領域とも深い関連を持ち乍ら, その独自な体系を展開しているように思えてならない. この論文は, 良導絡研究の現在までの歩みをふまえ, さらに研究の基調となるいくつかの問題をとりあげて, その内容をさらに掘り下げ, 今までの論文に記述しなかったいくつかの問題を補充しながら, 今後の研究の発展にかかわるいくつかの問題を提示したいと思う. |
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ISSN: | 0286-1631 1884-9253 |
DOI: | 10.17119/ryodoraku1971.23.2_5 |